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August 27, 2010

占いや祈祷の歴史に比べれば200年なんて

私は信教の自由を尊重する。
私に迷惑をかけない限り,金目教でも何でも信じたい人は信じていればいい。
「手術は受けてもいいが輸血はダメ」という教義を重んじる患者(もしくは患者の家族)は医療従事者にとっては困りもので,教義をもう一歩進めて「たとえ治療のためでも身体を意図的に刃物で傷つけてはならない」としてくれていたら,外科医も麻酔科医も悩まずにすんだのに…と思わなくもない。だが,今の私は外科医から輸血拒否患者の手術の相談があった時点で即「その麻酔は引き受けません」と言える。私にとって脅威ではなくなった。
とにかく,私と関係のないところで誰が何を信じようが本人の自由だ。私はその人たちと関わらないように生きていくだけ。

最近ホメオパシーとかいうものが話題になっているが,上記の理由により私はノーコメント。
しかし,養成学校の存在にはびっくり。

私は最近前投薬など処方していないが,今後は処方するにしても前投薬のことを「プレメディ」と呼ぶのはやめた方が良さそうだ。誰かが聞き違えて「あの麻酔の先生,レメディ使っているそうよ」「そういえば筋ジスの患者さんのとき,ホメオパシー(ミオパチーの聞き違え)がどうとか言ってた」

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August 07, 2010

免疫アレルギー

何かが嫌い・苦手であることを「**アレルギー」と表現することがある。たとえば数学アレルギーなど。おそらく「そのものに接する,あるいは考えただけでじんましんが出るほど苦手」ということだろう。

私は免疫学が苦手なので「免疫アレルギー」と自称してもいいくらいだ。そして私は日々の麻酔業務でアナフィラキシーショックやCVCIに遭遇することを恐れている。そのような地雷を踏んでしまうことを考えただけでじんましんが出そうな気分になる。いわば「アナフィラキシーアレルギー」,「挿管困難アレルギー」。

さて,最近ブリディオン(スガマデックス)という筋弛緩薬拮抗剤が日本でも使えるようになった。ロクロニウム/ベクロニウムを選択的に直接包接して筋弛緩作用を不活化する世界初の筋弛緩回復剤ということで脚光を浴びている。

麻酔関連でアナフィラキシーショックの原因として多いのが筋弛緩薬。麻酔導入直後にアナフィラキシーショックとなり,エスラックスがその原因として強く疑われた場合,アナフィラキシー治療の目的でブリディオンを投与することに意義があるのか? エスラックスを直接“包接”するのだから,抗原性も覆い隠してくれそうな気がする。既に起こってしまったショックには対症療法が第一としても,免疫アレルギーのド素人としては「抗原量を減らせるならアナフィラキシーの持続時間も短縮できるのでは?」と期待してしまう。

先行使用している欧米ではさぞかし多くの情報があるだろうと思って探したが,検索下手の私は1件しか見つけられなかった。
Mitigation of rocuronium-induced anaphylaxis by sugammadex: the great unknown


なるほど,エスラックス投与直後なら包接に必要なブリディオンも大量(16mg/Kg)になるか。そりゃそうだ。挿管できなくて緊急リバースする場合と同じだが,アナフィラキシーに効くかどうかわからないのに常用量の8倍投与は勇気がいる。
結局,「自己責任で使いなさいよ」ということか。

アナフィラキシーショック遭遇の際には私はパニくって呼吸・循環の維持に必死だろうから,ブリディオンのことなど考える余裕などないはず。それにヘタにブリディオンを投与するとアナフィラキシーには効果みられないまま筋弛緩だけが切れ,挿管チューブをいやがって暴れ出すかもしれない。暴れる元気があればの話だが・・。

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