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September 18, 2009

すれちがい感染

「ここは転職を司るマーダの神殿。職業を変えたい者が来るところじゃ。ドキュソはどの職業になることを望むのじゃな?」

「ドキュソは愚民になりたいと申すのじゃな? 愚民が職業かどうかはさておき,愚民になるためにはあるクエストをクリアせねばならん」

「そのクエストとは,まったく健康な状態で病院へ行き,『新型インフルエンザに感染していない証明をくれ』と医師に訴えるのじゃ。証明はもらえなくてもよいが簡単にあきらめてはいかん。まったく健康な状態のまま病院へ行くことがポイントじゃ。忘れるでないぞ」


聖シュタイン病院 内科外来

医師:「どうされました?」

ドキュソ:「新型インフルエンザに感染していないという証明書をくれ」

医師:「えっ? 何か症状がありますか? 熱があるとか・・・」

ドキュソ:「いいや,ぜんぜん」

医師:「症状のない方には検査はできません」

ドキュソ:「なんでだよー」

医師:「貴重な判定キットを健康な方に使うわけにはいきません。それに,いつどこで感染するかわからない病気で『感染していないことの証明』は無理です」

ドキュソ:「判定キットで陰性だったら,証明書にそう書けばいいじゃん」

医師:「判定キットが正しいとは限りません。インフルエンザ感染者でも陰性となることはよくあります。それに,今は感染していなくてもこれから病院内で感染するかもしれません。何しろここは病院。体調の悪い者が集まってくるところです。会計を待っている間に感染する可能性も充分あります」

ドキュソ:「だったら感染しないようにお金を払わずにすぐ帰るから ってゆうか,最初からそのつもりだったけど」

医師:「だから,そういうことじゃなく・・あれ?,それはテンニンドーSDですね。まさか病院ですれちがい通信を?」

ドキュソ:「ああ,まさかとは思ったけど待合室にいる間に合計5人も入ってきやがった。やつらはラッキーしたぜ。俺から『呪われし割り箸の地図Lv67』を受け取ったんだからな」

医師:「あなたは何かいい地図をもらいました?」

ドキュソ:「ぜんぜん。しょぼい『怒れる僻地の地図』ばっかり。でも大丈夫,このあとハシヨドカメラのダルーイの酒場に行くから。あそこに行くのが俺の日課なんだ。昨日やっと『放たれし奴隷医の地図Lv78』をゲットしたぜ。今日は通称えみたんの地図,『わななく医療崩壊の地図Lv85』を手に入れるまで帰らないつもりなんだ」

医師:「あのダルーイの酒場って,大勢の人が集まってくるところでしょう? 咳をしてる人や顔色の悪い人もいませんか?」

ドキュソ:「日に焼けて健康そうなスポーツマンタイプはいないね。もともと青白い顔した陰気なヤツばっかり。それに寒がりが多いな。まだ9月というのにコート着てたりマフラー巻いてたり。そういえばぶるぶる震えながら息をハアハアしてたヤツもいたっけ」

医師:「そんな場所に毎日・・ですか?  それでインフルエンザ非感染の証明をと?」


ドキュソはクエストをクリアした。愚民に転職することに成功した。モンスターペイシェントキングの称号を得た。「恥を知れ」のじゅもんを覚えた。自己負担不払いのとくぎを覚えた。

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September 15, 2009

no rescue, no error

亡くなられた方々のご遺族にはお悔やみ申し上げます。

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航空事故:北ア、防災ヘリ墜落 岐阜県職員3人が死亡--尾翼、岩衝突

 11日午後3時20分ごろ、岐阜県高山市奥飛騨温泉郷神坂(かんさか)の北アルプス奥穂高岳の岩場で、県防災ヘリ「若鮎(あゆ)2号」が急病人の救助活動中に墜落、炎上し、搭乗していた県防災航空センター職員3人が遺体で見つかった。県などによると、ヘリのテールローター(回転尾翼)が岩場に衝突し、ヘリは約400メートル下へ墜落したといい、県警が高山署に捜査本部を設置し、事故原因を調べている。

 県によると、搭乗していたのは同センターの▽同県各務原市東山、操縦士、朝倉仁さん(57)▽同市鵜沼川崎町、整備士、三好秀穂さん(47)▽同県笠松町田代、副隊長、後藤敦さん(34)。3遺体は、墜落現場からさらに100~150メートル下の岩場で県警ヘリに収容された。急病となった宮城県山元町、無職、冨沢薫さん(64)も遺体で収容された。

 岐阜県や県警によると、同日午後1時半ごろ、「男性が急病で倒れた」と登山パーティーから地元消防に連絡があり、若鮎2号は同2時10分ごろに各務原市の同センターヘリポートを離陸、朝倉さんら3人と山岳警備隊員、別のセンター職員の計5人で現場に向かった。だが地上に降りた山岳警備隊員ら2人が冨沢さんの遺体を発見し、ヘリから垂らしたロープに遺体の収容袋をくくりつけようとしたところ、ヘリが岩盤に衝突、墜落した。現地の山荘従業員によると、当時、現場には霧が出ていたという。

 若鮎2号はベル式412EP型(全長17・1メートル。定員15人)。10~11日に100時間飛行後に行われる点検を受けたばかりで、異常はなかったという。

 操縦士の朝倉さんは航空自衛隊から97年に県に入庁。空自時代から現在までの飛行時間は5740時間に及ぶベテラン操縦士。
 ◇事故調査官を派遣

 北アルプス・奥穂高岳付近で岐阜県防災航空隊のヘリが墜落した事故で、運輸安全委員会は11日、航空事故調査官3人を現地に派遣した。【平井桂月】
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ヘリには当初医師が乗っていたが途中で降りたため,事故に遭わなかったらしい。

我々医師はどうしてもドクターヘリのことを連想する。しかしおそらくドクターヘリ推進派は「ひとつの事故を根拠にヘリコプターを危険な乗り物と決めつけるべきではない」とか言うだろう。

ま,ヘリコプターに乗りたい医師は好きなだけ乗ればいい。私は乗らないだけ。乗ってもどうせ何の役にも立たないし。


ところで,救助活動と言えば

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積丹岳遭難死、遺族が道を提訴へ 損害賠償を請求

 北海道積丹町の積丹岳(1255メートル)で2月、遭難した札幌市豊平区の会社員藤原隆一さん=当時(38)=が救助されている途中で滑落し死亡したのは、道警の救助方法が不適切だったためだとして、藤原さんの両親が11日、道に約8600万円の損害賠償を求める訴訟を札幌地裁に起こす。

 訴えなどによると、藤原さんは1月31日、スノーボードをするため友人と入山し、1人だけ行方不明となった。2月1日、道警の救助隊に発見され、救助用ソリで搬送されていたが、ソリを一時的にくくりつけた木が折れて斜面をソリごと滑り落ち、再び行方不明になった。翌2日に発見されたが、搬送先の病院で死亡が確認された。

 両親は(1)救助隊員が木にソリをくくりつける際に複数の支点をつくり固定しなかった(2)滑落した藤原さんを助けなければ死に至ることを知りながら捜索を打ち切った―など適切な救助をしなかったと主張している。

 道警は「提訴された段階で対応したい」としている。
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トンデモ訴訟は医療関連で見慣れているので何とも感じなくなってきた。所詮民事だし。

それにしても福島県警でなくて残念。同様の事故が福島県内で起こったなら「患者を救えなかった産科医を逮捕したのだから,遭難者を救えなかった救助隊員を逮捕しろよ」と言ってやれるのに。

某氏の言葉を借りれば「うまくいって当たり前でひとつ間違えば叩かれる、これを理不尽に思ってはいけないと思うのです。それはどんな職業でも当然のことなのです」らしいので,この某氏にとっては上記の訴訟も理不尽なものではないのだろう。

ヘリが墜落するようなリスクに晒され,しかも救助に失敗すれば訴えられる。
「だったら最初から救助に向かわないのが賢明」ということになる。

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