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August 28, 2009

麻薬扱いになりませんように

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マイケルさん死因は薬物投与、医師逮捕も

2009年8月26日

 【ロス24日=千歳香奈子通信員】ロス郡検視局が6月に急死した米歌手マイケル・ジャクソンさん(享年50)の死因を「麻酔薬と鎮静剤の複合投与による死亡と断定」と結論付けたことが分かった。ロス市警によるマイケルさんの専属医の家宅捜索の捜査令状に、司法解剖の結果を「他殺」と表現。米メディアによると捜査当局は、専属医を過失致死容疑ではなく、日本の殺人罪にあたる容疑で逮捕も可能という見方を強めているという。

 24日に公開された捜査令状によると、マイケルさんの専属医コンラッド・マーレー医師は、死亡当日の6月25日午前1時半ごろから同7時半ごろにかけて、自宅で不眠を訴えるマイケルさんに、睡眠薬のほか、鎮静剤「ロラゼパム」と「ミダゾラム」を断続的に投与した。ところが効果がなかったため、同日午前10時40分ごろ、強力な麻酔薬「プロポフォール」を点滴で注入。マイケルさんが眠ったためその場を離れ、トイレから戻った際、呼吸停止状態のマイケルさんに気付いたという。マイケルさんは同日昼すぎに救急搬送先の病院で死亡が確認された。

 捜査当局は捜査令状に、致死量を超えるプロポフォールの過剰投与と、少なくとも2種類の鎮静剤との複合投与が死因と結論付けたと明記。AP通信は、捜査当局関係者がマイケルさんの急死を殺意の有無にかかわらず死亡させた「他殺」と位置づけたと伝え、捜査当局が殺人罪にあたる罪の適用も可能との見方を強めているとも報じた。

 捜査当局によるとマーレー医師は、不眠で悩むマイケルさんに、死去の約6週間前から毎晩、プロポフォール約50ミリグラムを投与していたという。医療関係者によると、プロポフォールは病院内で厳しい管理のもと使用される麻酔薬で、主に全身麻酔のために用いられ、投与後数十秒で意識を失う。過剰投与すると心拍数や血圧の低下、呼吸を抑制してしまう可能性があるという。医療関係者は鎮静剤との併用について「まともな使い方ではない」と指摘する。捜査当局によると、マーレー医師は死亡直前にもプロポフォール約25ミリグラムを投与したと認めているという。またマイケルさんが、白い液体状のプロポフォールを「ぼくのミルク」と呼んでいたことも明らかにした。

 マーレー医師はマイケルさんがプロポフォールの依存症に陥ることを懸念し、ほかの薬品と併用した疑いや、意識を失ったマイケルさんをしばらく放置した疑いも持たれている。

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オペ室にて

「さあ,善守さん,それでは今から全身麻酔をしますね。まずはマスクで酸素を吸っておいて下さい。もうすぐ点滴から入れる白い薬はですね,血管に入る時にちょっと痛みが出るお薬でして,点滴のところが痛くなるかも知れませんよ。あまり痛くならないように予防の薬も入れますけどね。それでは薬を入れていきますよ。目が覚めたら全部終わってますのでね,何も心配いりませんよ。はい,眠たくなりますよ・・・善守さん,目をあけてみて・・・善守さん・・・」

「さあ,土器運さん,それでは今から全身麻酔をしますね。まずはマスクで酸素を・・。あれ? タバコ臭いですね。土器運さん,今日もタバコを吸ったんですね。別にいいですけどね。昨日もお話ししたように,全身麻酔中は気管にチューブを入れて人工呼吸するんですよ。それでね,そのチューブが刺激になって痰が出やすくなるんですけど,禁煙ができていない人は通常より痰が多く出るんです。手術中の痰は私が器械で吸い取りますけどね。気管チューブの中にもっと細い吸引チューブを入れるだけですから。でもやっかいなことにね,その痰は気管チューブを抜いた後も出続けるんです。で,手術が終わってチューブを抜いた後はね,原則として自分で出してもらうしかないんです。手術の傷が痛くてうまく痰を出せないときは肺炎になったり大量の痰で息が詰まったりすることもありますけど,私のせいにしないでくださいね。自業自得なんで。さあ,それではマイケル・ジャクソンを殺したのと同じ薬をぶち込みますね。点滴のところが痛くなるけど気のせいです。目が覚めたら全部終わってますからね。人生そのものが終わってたりして。あ,それはないですね。人生が終わってたら目が覚めないし。土器運さん,目,あきますか? 土器運さん,ドキュンさん・・・」

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August 25, 2009

ソクシヌルコリン

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「サクシン注射液」から「スキサメトニウム注」への販売名変更

 平成二十年十一月,ヒドロコルチゾン製剤「サクシゾン」と筋弛緩剤「サクシン」を誤投与したことによる死亡事故が発生したことから,日医では,「医薬品の販売名の類似性等による医療事故防止対策の強化・徹底について(注意喚起)同年十二月十九日付日医発第九三一号(医安七二)」において医療安全対策に係る周知徹底をお願いしてきたところである.
 今般,製薬メーカーの対応として,アステラス製薬株式会社が,「サクシン注射液」の販売名を「スキサメトニウム注」に変更すべく,販売名変更代替新規承認申請を行い,承認を受けた.組成・性状,効能・効果,用法・用量,使用上の注意については,従来製品からの変更はない.
 同社は現在,安全対策としての情報提供を実施しているところだが,出荷・発売時期は八月下旬とのこと.
 なお,名称の類似が指摘されている薬剤は,他にも存在しているので,これまでどおりの医療安全対策を講ずるようお願いする.
 本件については,平成二十一年七月二十二日付(法安一七)にて都道府県医師会宛に通知済である.

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子供の頃に見たウルトラ怪獣の名前はいまだに覚えているが,最近の薬の名前はすぐに忘れる。ただでさえ容量の少ない私の頭のHDは近年は最新のデータが短期間で自動消去される。で,「この薬は前にも調べたことがあるぞ」と思いながら検索することが多い。特に脳代謝改善薬とかいうもの。病棟のカルテに知らない薬剤名が記載されていると,そこらへんに「今日の治療薬」がころがってないか探さなくてはならない。薬剤名を調べられるPDAや電子辞書の購入も考えたことがあるが,私がそれらを白衣のポケットに入れて持ち歩いていたらすぐに無くしてしまうことを私は知っている。紛失しないまでも,そのうちカバンの奥底に放置して持ち腐れるのが必至。それに最近は電子カルテが導入されている病院が多く,オーダリングシステムを使って薬剤を誰何できるようになってきた。あるいはネット環境があれば薬剤名など簡単に調べがつく。

それはさておき。

私のPCに入っている「治療薬マニュアル2003」(古!)では「スキサ」で検索すると塩化スキサメトニウム(これ自体が一般名)とトスキサシン(一般名トシル酸トスフロキサシン)がヒットした。後者は抗生剤らしいが私にはその普及度や重要度がどれほどかさっぱりわからない。トスキサシンがどこの病院にも置いてあるような薬だとしても,病院の電子処方での薬剤名検索は前方一致だろう(?)から,スキサで検索してトスキサシンが出てくることはないはず。しかし筋弛緩薬は非常に危険な薬剤で,誤投与が死に直結する。どうせ名称を変えるなら「イキデキーヌ」とか「レスピストップ」ぐらいにすべきだったのではないか。今ならそんな名称をつけても嘲笑の対象にはならないだろう。因みに「治療薬マニュアル2003」では「イキデ」でも「レスピ」でも何もヒットしなかった。

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August 23, 2009

救命病棟24時(間全員常駐)

お盆休みは充分長かったがレジャーやら学会やらで忙しく,録画していたドラマ「救命病棟24時」の第一話と第二話を今頃になってやっと消化できた。
あまり期待していなかったが,結構楽しめる。

本来救急車は搬送先が決まるまで現場にとどまっているが,冒頭のシーンでは走っている救急車の車内で隊員が搬送先を探し,お約束の受け入れ拒否で右往左往。いかにも「たらい回しされてます」という心憎い演出。マスゴミが愚民国民に植え付けた“救急たらいまわし”のイメージをそのまま映像化したようだ。

そして「医師が優秀なら妊婦もベビーも助かるんだ」とでも言いたげな展開。「世の中、動いたと実感」させるあの事件を意識しての狼藉か。救急医が総辞職というのは山陰地方の某大学病院が思い浮かぶし,食中毒の触れ込みで搬送されてきた患者が実は毒を盛られていたというのも砒素カレー事件を連想させる。おっと,ここでもスーパードクターならすぐに毒物に気づくはずと言わんばかり。この調子では今後,口蓋の切り傷が実は割り箸穿刺,小児の風邪が実は心筋炎,交通事故で軽傷に見えたが実は心タンポナーデ,肝硬変で腹水穿刺したら血管損傷&凝固能低下で止血困難,などにもご登場願えるかも知れない。


心マしながらミダゾラムとか医療上のツッコミどころもサービス満点だが,医局長(ユースケサンタマリア)の唱える正論とか,応援の眼科医がキレるところとか,それなりに溜飲の下がるセリフもあった。しかし,医局長の「患者は医者を減点法で見て・・・」というセリフ,一般視聴者にわかってもらえただろうか。
患者は,病気やケガで患者になった時点でマイナス状態。それを何とかゼロに近づけようとするのが医療。死亡をマイナス100として,肺血栓塞栓症で心停止ならマイナス99くらい。それを手術などでマイナスを減じていこうとするが,決してゼロにはならない。患者が類い希な強運の持ち主で社会復帰できたとしても,少なくとも体に手術跡が残る。その傷が長く痛むこともある。「マイナス20点くらいなら万々歳」の世界。
しかし患者は100点満点の健康状態から減点法で考える。「肺血栓塞栓症という病気にならなければ母児ともに健康でいられたはず。医者がちゃんと仕事すれば,患者は病気になる前の状態に戻れる」と。そういうわけで,妻と赤ちゃんを救ってもらいながら「子供に障害が出たら訴えてやる」と医師に詰め寄る夫はまさに「減点法で医者を見る」を体現している。


小島医師(松嶋菜々子)が無理して小児患者を受け入れたばっかりに訴訟を起こされているという設定は秀逸だったが,第二話であっさり解決してしまった。受け入れ先がなくて困っていた患児を見かねて引き受けてくれたのに,その恩に訴訟で応えるようなDNQ家族。そんな連中が救急の現場を見たくらいで翻意するとは安易な展開。「最初からここへ運ばれてたら孫は死なずにすんだはず。やはり孫はあの女医に殺された」と言ってくれたほうがリアリティがあっただろうに。

今後の展開としては,救急車内で血腫除去術を受けた男児が一命を取り留めるものの髄膜炎となって後遺症が残り,「保護者の同意も得ず,滅菌が不十分な器具で穿頭したために髄膜炎を起こした」と親に訴えられる,あるいは緊急カイザーで助かった赤ちゃんがその後順調に成長するも学校の成績が悪く,あの夫から「ウチの子の頭が悪いのは産科医でもないのに帝王切開した進藤医師のせい。慰謝料と塾の学費を払え」と訴えられるとか。


もっとまじめに言うと,救命医が他の診療科の都合など斟酌せずに状態の落ち着いた患者を無理矢理一般病棟に押しつけ,内科や外科の医師たちがブチ切れるシーンがあってもいいだろう。あるいは後方ベッドが塞がっているせいで患者をICUから動かせず,自分で食事も排泄もできてTVも観られる患者がICUのベッドを占拠するとか。そしてそのために搬送受け入れを断ると。
救命医がホットラインの受話器をとり,深刻な顔で受け入れを断っている。その医師の視線の先にはベッド上にあぐらをかいてTVを観ている患者。画面は再放送の水戸黄門のクライマックスで,格さんが印籠を取り出すシーン。ありえない。局が違った。


医局長が講演などで不在のシーンはあるが,他のメンバーはいつも揃っている。交代性でなく,昼も夜も常に全員参加。リアリティに乏しい(?)が,ドラマだから仕方ない。「今回のエピソードは進藤先生が非番の設定で,画面に一度も登場しません」なんてできない。実際の彼は病み上がりなので一回くらいならファンも許してくれそうだが。

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August 10, 2009

陽圧換気,難しそう

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65キロの巨大腫瘍を摘出

ココログニュース

2009年8月7日(金)11時0分配信 ココログニュース


11年間放置して重さ65キロにまで巨大化した体内の腫瘍の摘出手術をした中国の女性が現地メディアで報じられた。この女性は、貴州省に住む葉さん。1998年に産婦人科で受診した際に卵巣の左側に腫瘍(卵巣嚢腫)が見つかったが、貧しいために手術費が払えず、11年間放置されたままだった。

腫瘍はついに直径70センチ、重さ65キロにまで巨大化してしまった。そのことが広く知れ渡り、ある病院が無償による手術を買って出た。手術は先月28日に行われ、終わるまでに10時間以上もかかったという。手術中、腫瘍からは30リットルの黄色い液体が抽出され、その後長さ69センチ、周囲130センチの巨大腫瘍が摘出された。手術前の体重が115キロだったため、元の体重よりも腫瘍のほうが重かったことになる。数字を見るだけでその痛ましさがわかる。

術後の経過は順調で、葉さんは「この10年何もできなかった。第2の命を与えてもらったことに感謝している」と語っているという。中国では医療費が払えず病気が治療できない患者の話題が跡を絶たない。崩壊した医療制度の立て直しが行われているが、課題は山積みのようだ。

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いろんな手術を見てきたし現在も毎日のようにう見ているが,自分が術者になりたいと思ったことはあまりない。ただ,卵巣嚢腫の内容液の吸引だけは一度やってみたい。嚢腫が多胞性だったり内容液が粘稠だったりすると苦労しそうだが,単胞性で漿液性だと吸引でみるみるうちに嚢腫がしぼんでいく。通常量の液体を吸引管で吸うときは空気も吸引するため,ジュルジュルという音(ストローでジュースを飲むときの最後の音)がするが,巨大卵巣嚢腫では貯留液がたっぷりあるので静かに吸引されていく。液体は吸引のリザーバーに排出され,その水位はどんどん上昇してゆく。内容液がすべて吸引されてると,中身を失った嚢腫の皮膜はしぼんだ風船そのもの。しぼむのは皮膜だけではない。嚢腫のせいで伸展していた腹壁も力なくたるんでいて,筋弛緩薬の効果が切れていても閉腹に困ることはほとんどない。大きく膨らんでいた腹部はスッキリ平坦となり,術前の状態を知っている者には病変部が取り除かれたことが一目でわかる。

65kgの卵巣嚢腫なら術前と術後の腹部の差は歴然というより,別人に見えるだろう。

日本でならラパロで手術したがる先生もいるかもしれない。私が麻酔を依頼されたなら・・・ラパロは断るとして,開腹でもつらい。硬麻の体位はとれないだろうし,最膨張性肺水腫も恐いし。

>中国では医療費が払えず病気が治療できない患者の話題が跡を絶たない。崩壊した医療制度の立て直しが行われているが、課題は山積みのようだ。

この件に関してはスルー。

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August 08, 2009

明日は我が身


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男児の静脈に空気注入、低酸素血症に 福島県立医大病院

2009年8月3日21時59分

 福島県立医大付属病院(竹之下誠一院長)は3日、県内在住の男児(2)の手術中、過って静脈に空気を注入し、血圧が一時低下して低酸素血症となる医療事故があったと発表した。男児は約10分間、脳に十分な酸素が届かず、脳に障害が残る可能性もあるという。

 同病院によると、男児は7月29日、食べたものが戻る「胃食道逆流症」の手術を受けた。20代の麻酔科医が、胃に空気を入れ胃の形状を確認するため、胃と鼻をつなぐ管から空気を入れようとしたが、右足から静脈につながったチューブを管と間違え、静脈に50ミリリットルの空気を2回、注入したという。

 血圧が一時低下したことを知らせるアラームが鳴ったためチューブを取り違えたことに気づき、手術を中止。心臓マッサージ後、通常の心電図波形が確認できたため、集中治療室に移したという。

 手術中は外科医3人と麻酔科医の計4人がずっとついていた。麻酔科医は麻酔科に入って10カ月だったが、指導役の医師が別の手術室と掛け持ちで出入りしていたという。

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アトム多用途チューブの先に三方活栓でも付けていたのだろうか? だとしても三活が最端のはず。ラインの途中に三活がある静脈ルートと間違えるはずはないだろうに。

それともどちらのラインにも三活がなかったとか。

最近は病院あげて三方活栓を廃止しようとしている施設が多いようだが,私は三活を愛用している。というか,三活のない静脈ルートは使う気になれない。

リスクの少ない手術しか引き受けない今,30mlのシリンジで三活からMAPやアルブミン製剤をポンピングする機会はほとんどない。しかし静脈ルートに三活がない状態で麻酔を行うのは居心地が悪い。

その一方,私はAラインとVライン以外には三方活栓は使用しないことにしている。たとえば硬膜外カテーテル。もちろん誤投与を防ぐためだが,硬膜外に薬液をポンピングすることはないので三活が無くても不便ではない。

Aラインの三活は赤色なのでVラインと間違えることはまずない。何らかの理由で静脈用の三活がAラインに接続されていたらどうなるか。もちろん静脈に投与するはずの薬液をAラインに入れてしまう可能性はある。たとえば間違えて筋弛緩薬2ml(マスキュラックスなら2mg,エスラックスなら20mg)をAラインの三活から投与したとする。Aライン刺入部から三活までの距離が長い場合(これが短いとVラインと間違える可能性は低い)は投与された薬液はライン内にとどまる。Vラインのように自然滴下で流れているわけではなく,次回Aラインがフラッシュされるまで薬液は患者の体内に入っていかない。

手術が終了し,筋弛緩をリバースして抜管。モニター類をはずし,退出のためにAラインをフラッシュしてロック。このときにライン内の筋弛緩が体内に入る。そして病棟へ向かう途中で筋弛緩薬が効いてきて・・・。

私はシリンジを三活に接続する際,必ず三活のエアーを追い出すようにしているのでAラインと間違えない自信がある。シリンジ内の薬液を全量投与する場合は接続した後にボトル側から一度引いてエアー抜きをするので,やはりこのときAラインと気づくはずである。しかしフールプルーフの観点からAラインも専用シリンジしか接続できないようにするべきだろう。


最後になったが,男児の回復を心からお祈りする。

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