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February 14, 2009

救急搬送京都宣言


魚拓

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救急搬送され死亡、遺族に情報公開へ
京都市消防局 4月から

 京都市消防局は、救急搬送された人が死亡した場合、搬送状況や病院に到着するまでの時間などの記録を4月から、遺族に対して公開する。遺族が、故人の死亡時の状況に心を寄せることができるのに加え、社会問題になっている「たらい回し搬送」の有無を確認できることになる。

 市消防局によると、これまでは個人情報保護条例が開示対象を本人のみとしていたため、遺族が情報公開請求などで故人の搬送状況を知りたくても、詳しい内容は提供できなかったという。今回、故人の配偶者か第二親等までの血族(法定代理人も含む)に限り同条例の目的外使用とすることで、市個人情報保護審議会で了承された。

 遺族に公開されるのは、「救急活動記録書」に記載されている事故の概要や原因▽病名や搬送時の状況▽応急処置の有無▽搬送先の病院の紹介状況や病院に搬送された時間-など。
 市消防局は「故人の最後の様子を知ることができるため、遺族にとっては有益な情報を提供でき、しっかりとした説明責任も果たすことができるようになる」としている。
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京都府には舞鶴という医療崩壊の聖地があるが,京都市のネタは(京大病院のゴタゴタは別として)あまり聞いた覚えがない。

とにかくこれからが楽しみ。
京都市消防局に追随するのは前科のある姫路あたり? まだ旬の伊丹?  

レセプトオンライン化についてゆけない高齢開業医の多くが廃業を考えているのは京都だった。ということは,京都の若い勤務医にとっては開業のチャンス。当直という名のボランティア夜勤が大好きで,自分達を売ろうとしている救急隊とこれからも仲良くしたいという勤務医には関係ないけど。

逃散以外の対抗手段としては,救急隊の食道挿管の証拠(胸部XP)を残すことぐらいしか思いつかないが,どうせ「レントゲン撮る前に医師が気づくべきだった」とか糾弾されるんだろう。それなら,病院到着直後に家族のいる前で「あほ,胸あがってへんやないか! 聴診器あててみい! 呼吸音なんか聞こえへんやろ,ぼけ! 思いっきり食道挿管やないか! ここ来るまでこれでアンビュー揉んでたんかい! あほか,こんなん,助かるもんも助からんわい!」  京都だと関西弁ももう少し柔らかいか。

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February 06, 2009

PCIでコイル塞栓?

朝日新聞では昨日と今日の2日にわたり,「生活習慣病にならないために」と銘打った特集を組んでいる。

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左上のキーワードに注目

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「心筋梗塞は、動脈硬化で血管にできたこぶが突然破れ、血管をふさぐことで起こり、血液が届かなくなった心臓の筋肉が壊死してしまう病気」
だそうな。

ということは,心筋梗塞発症直前の冠動脈造影ではきっと立派な冠動脈瘤が映るはず。そうなるとPCIならコイル塞栓,手術ならクリッピングか。

冠動脈瘤は大昔に川崎病の患児で見たことがあるような気がするが,成人では見た記憶がない。

速報性の因果で調べる時間がなかった社会部の記者が「梅毒ウイルス」とか「気管支切開」と書くのはまだご愛敬。

わざわざ特集組んで,しかもその用語解説でこれか。


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February 04, 2009

妄想近未来がんセンター(後編)

「それもいつも言われることですが,それに対する回答はパンフレットには書いていません。私のいつも通りのお答えを言いましょう。私の友人には医者が多くいます。医者以外の友人のほうが少ないくらいです。私や私の家族が癌になったら,その癌の専門家である友人にこう頼みます。『一生で一度のお願いを聞いてくれ。何とかすぐに手術をしてくれ』と。そう,一生一度の願いとして頭を下げます」

「先生の友人が胃癌になってそのように頼まれたら,この病院ではいつ手術するんです?」

「そうですね。平日の夜か,土日にします。一般患者の手術枠に割り込ませることはしません。友人の一大事のため,時間外に一肌脱ぐだけです。看護師も手伝ってくれます。お互い様なので」

「癌なんか誰にとっても一大事。仲間内でできることをなぜ一般患者にもしてくれないんです」

「ここはがんセンターなので各地から癌患者が集まってきます。今日の外来の待ち時間からでも想像つくでしょう? その人たち全員のために私の『一生一度のお願い』を使うことはできません」

「仲間内での手術はあんたらの自宅でやればいい。病院の施設や器具を使うのは公私混同じゃないか」

「別にタダで手術するわけではないです。ちゃんと保険請求し,医療費の自己負担分は各自払います。病院も収益になります」

「しかし,夜間や土日に手術室を使えばその間は緊急手術ができなくなる。救急車から搬送要請があったら,その手術のせいで受け入れを拒否することになる」

「救急搬送に関しては本を書かれるぐらいですからお詳しいですね。しかし当院では救急対応はしていません。このがんセンターは慢性疾患のための病院です。それに,当直医に手術を手伝って貰うことはありません。手術室も一部屋を使うだけで,他は空いています」

「あーいえばこういう,言い訳ばっかり。まさか,俺があの本を書いたからいやがらせを…。本のタイトル通り見殺しにしてやろうと…」

「そんなことはありません。個人情報保護法に反するので待機リストをお見せするわけにはいきませんが,魚群さんの前に約250人の患者さんが登録されています。しかし他の病院へ移ったり進行癌で亡くなったりする方がいるので,実質は200番目くらい,運が良ければ150番前後になるかもしれません」

「進行癌で亡くなる? 待たされるのは早期癌だけじゃないのか? それとも最初は早期癌で,手術を待っているうちに進行癌になるのか? 進行癌ならただちに手術するべきじゃないのか」

「いろんな考え方があります。診断の時点で進行癌なら順番を早めてやるべきだというのは自然な考え方かもしれませんが,高い確率で完治が期待できる早期癌こそ早く手術してやるべきという意見もあります。また,若い患者を優先するべきと主張する医師もいます。しかし,年齢の線引きが難しくなります。40歳代と70歳代の比較なら簡単ですが,50歳代と60歳代はどうでしょう。今の世の中,60歳代などまだまだ現役です。そこで当院では手術の予約を入れた時点での順番に手を加えないことにしました。癌の進行度や患者さんの年齢を一切考慮せず,予約順を守ることが一番公正だという結論に達したのです」

「なんてことだ。どこの病院も同じなのか?」

「ええ,日本全国どこの病院も似たようなものでしょう」

「海外で手術を受けるというのは…」

「その点に関してもパンフレットに書いています。ここ,65ページ,『海外で手術を受けられる方へ』。うまくゆけば一か月以内に手術を受けられるかもしれません。しかしアメリカだと医療費だけで一財産を失うでしょうし,インドだと手術のついでに腎臓を盗まれることがあります。海外で手術を受ける場合は自己責任でお願いします。あ,そうそう,パンフレットにも書いていますが,診療情報を英語に翻訳するサービスは当院では扱っておりません」

「胃癌の手術は日本が世界一と聞いていたのに…わざわざ言葉の通じない海外,しかもボラれたり危険だったりのところへ行かねばならんとは。何でこんなことに…」

「魚群さんならよくご存じだと思ってましたが」

「癌難民のことはある程度知っていたが,まさかこれほどとは。まさに見殺しじゃねえか」

「我々だって好きで見殺しにしているわけではありません」

「だったら,昼夜を問わずもっと働いて癌難民を減らす努力をしろよ。土日は休息だと,ふざけるな! こっちは命が危ないというのに,自分たちは仲間内でこっそり手術しやがって。自分さえ良ければそれでいいのか」

「落ち着いてください。わかります。患者さんの5人に4人は同じようなことを言われます」

「どうせその回答もこのパンフに書いてあるんだろう」

「いえ,書いてません。おっしゃることはごもっともです。弁明のしようもありません。我々の不徳といたすところです。ですが,他の患者さんもまだ待っておられます。ここはどうでしょう,今後のことはご家族とよく相談され,次回の受診日に方針を決めると言うことで…」

「頭を冷やせってか。医者に暴力をふるいたくなるヤツの気持ちがよくわかる。あの防犯カメラは正解だな」

「癌を告知されれば誰だってうろたえます。皆さんそうです。でも,次回の受診では皆さん冷静になっておられます。とりあえず,次回の受診日を決めましょう。来週でも再来週でも。金曜日は初診が少ないので今日ほどお待たせすることはないでしょう」

「じゃ,来週の金曜日で」

「わかりました。では端末で予約を入れます。あ,そうそう,この文書に署名をお願いします。たいしたことは書いていません。パンフレットを受け取りましたとか,防犯カメラの録画に同意しましたとかを確認するだけのものです」

「医者が好きな,アリバイ作りというやつか」

「ええ,本音をいうとそうです。ただし,ご存じのように免罪符にはなりません」

「そうだよな。パンフレットは受け取ったけど,すべてのページをくまなく説明して貰ったわけではないしな」

「全90ページの小冊子をすべて説明することはできません。家でじっくり読んでいただくためのものです。抗癌剤や手術などのインフォームド・コンセントはその都度行います。パンフレットの内容で不明な点,わかりにくい点のみ次回の受診時に説明させていただくというのはどうでしょう?」

「ああ,そうさせてもらう。次までに付箋を山ほど付けてきて,じっくり質問させていただこう」

「他の患者さんを長く待たせることになるかも知れませんが,仕方ありません。よく申し送っておきます」

「申し送る?」

「ええ。あ,言ってませんでした? 私は今週いっぱいでこの病院を辞めるんです。来週金曜日の外来担当は医者になって7年目の若い外科医ですが,あまりいじめないでくださいね。彼も外科医を辞めたがっていますので,背中を押すような言動はどうか謹んでください。そうそう,私の代わりの外科医がここに派遣される予定はありません。外科医がひとり減るので手術実施数は確実に減ります。当然手術の待機期間も延びます。残った外科医たちがあなたの言うように『昼夜を問わず』働かない限り…」


おわり

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February 03, 2009

妄想近未来がんセンター(前編)

単なる妄想です。細かいことは気にしないでください。


「お待たせしました。外科の霧田刈です。お名前はえーと,『うおむれ』とお読みすればいいですか?」

「ええ」

「では魚群さん,お話を伺う前に一言申し上げておくことがあります。この部屋の様子はこの天井のカメラとあそこの隅のカメラ,2台の防犯カメラで録画されています。ご了承いただけるでしょうか?」 

「室内に防犯カメラ?」

「ええ,近頃医者や看護師に暴力をふるう患者さんがたまにいまして」

「やれやれ,さんざん待たされたあげく犯罪者扱いですか? ついでに待合室の様子も録画したらどうです? そうすれば患者がどれだけ待たされているかがわかるでしょう」

「すみません。外来の待ち時間が長いことは承知しています。申し訳ありません。今日はこの病院に朝早くから来られました?」

「10時頃」

「今が15時50分ですので,待ち時間は約6時間ってところですね。10時の来院ならまだマシなほうです」

「予約してきたはずなのに」

「申し訳ありません。初診は日にちの予約だけで,時間までは指定できないんです。紹介状があるとはいえ,初診ではどうしても待ち時間が長くなります。同じような初診患者さんが他にも大勢来られますので。ところですみません,本人確認がまだでした。あのカメラを見ながらフルネームを言ってもらえますか?」

「う・お・む・れ・の・ぼ・る」

「えーと,今日の日付は2015年○月×日火曜日でよかったですね。魚群登さん?」 

「ええ」

「では早速本題に入りましょう。お持ちいただいた紹介状と検査結果を拝見しました。えーと,職業はジャーナリスト…ですね?」

「紹介状には患者の職業まで書いてあるんですか?」

「いえ,書いていません。変わったお名前なので覚えていただけです。何年か前に本を書かれましたよね。えーと,救急搬送の受け入れ問題がテーマで,確か『患者を見殺しにする医師たち』とかいうタイトルの」

「そう,あの本を書いたのは僕です。それがどうかしました? 先生も『医者を非難するくらいなら医者にかかるな』という口ですか?」

「いえ,とんでもない。本も読んだわけではありません。タイトルにインパクトがあったので印象に残っていただけです。ところで今日はお一人ですか?」

「ええ,家内も働いているんで」

「そうですか。では結論から申し上げます。搾潤病院の銭多先生のお見立てどおりだと思います。早期の胃癌です。手術が必要です」

「え? いきなりそんな…。銭多先生からはここで精密検査を受けた方がいいって言われただけなのに」

「胃カメラもCTも搾潤病院でしています。追加の検査も必要ないでしょう。銭多先生は告知されなかったようですが,ここでは例外なく癌を本人に告知することになっています。何より当院の名称は『P県立がんセンター』です。ここを紹介された時点である程度覚悟されたでしょう?」

「そんな,どこも痛くないし自分がまさか癌だなんて。それに必ず告知されるとは知らなかった」

「総合受付の上に電光掲示板があったでしょう? 新幹線のなかでニュースを流しているようなヤツ。あれにいつも流れているんですけどね。『癌の告知をされたくない方は当院を受診しないでください』って」

「電光掲示板は見たけど『誤診はプロ野球選手のエラーと同じ』とか『病気になった時点で半分負け』とかひどいことしか…」

「最近は掲示板に流す情報が多くなってきましたからね。僕はいつも,これらの情報を待合室の液晶モニターにも映し出せと医局会では言ってるんですよ。ほとんど変化のない待ち時間情報だけではせっかくの大画面がもったいないですよね」

「告知のことはもういいです。それより,手術はいつですか?」

「それが,魚群さんもご存じとは思いますが最近の外科医不足は深刻で,手術を必要とする患者さんがどんどん溜まってきています。ですので,順調にいっても8か月ほど待っていただくことになります。あるいはもっと先になるかもしれません」

「そんなに待ってても大丈夫なんですか?」

「大丈夫ではありません。癌が大きくなったり転移しないうちにできるだけ早く手術したほうがいいでしょう。しかし他の患者さんも順番待ちをしています。割り込むことはできません」

「手術までの間はどうするんです? ずっと入院してるんですか?」

「経口投与の抗癌剤がありますので,それを服用して貰います。外来で処方します。入院の必要はありません。というか,化学療法のための入院も数か月先まで予約がいっぱいです」

「その薬を飲めば手術を受けなくて済むのですか?」

「そんなことはありません。その抗癌剤は癌の進行を遅らせるためのものです。癌が小さくなることもたまにはありますが,まったく消えることはありません。手術は必要です」

「その薬が効かなくて,手術までの間に癌が大きくなったりしませんか?」

「もちろんありえます」

「手遅れになることも」

「ええ,あります。正直に言いますと,胃癌は癌のなかでも抗癌剤が効きにくいほうです」

「手術を待っている間に手遅れになったらどうしてくれるんですか? 責任をとってくれるんですか?」

「二人に一人はそういうことを言われるんですよ。で,皆さんにこのようなパンフレットをお渡ししているんです。これの36ページを見てください。ここ,『手術待ちの間に手遅れになる可能性』です。ここに書いてありますように,病院としては責任のとりようがなく…」

「そんな馬鹿な,もっと早くに手術してくれる病院を紹介してもらうわけにはいかないんですか?」

「それもいつも言われるんですがね,私が直接知っている病院はどこも同じようなものです。全国津々浦々の病院を片っ端から当たればもっと早く手術してもらえる病院が見つかるかも知れませんが,手術が上手かどうかもわからない見ず知らずの病院をこちらで手配することはできません。病院探しはご自身で行ってください。その点に関してもパンフレットに書いてあります。えーと,ここです。51ページ,『当院よりも手術待ちの短い病院を探す際の注意点』。もちろん診療情報の提供はいたします。大丈夫,本日お持ち帰りできます。今日はもう夕方ですので,どこの病院も受付が終了してるので無理ですが,明日から別の病院を受診することも可能です」

「がんセンターが毎日手術していても追いつかないくらい患者が多いのですか?」

「いえ,当院の外科の手術日は月・水・木です」

「なぜ火曜や金曜も手術をしないんです? 土日も含め一年365日,先生らが毎日手術をすれば癌患者の手術待ちはもっと短くなるはずでしょう?」

「仮に私が月曜から金曜まで毎日朝から晩まで手術をするとします。そうなると外来はどうなります? 今日は火曜日。いま私が手術に入っていたら,ここに私はいません。代わりの外科医もいません。あなたはいつこの病院を受診するのですか? 外来だけではありません。胃カメラなどの検査もしますし術後管理,重症管理,インフォームド・コンセント,診断書などの書類作成…。外科医だからといって手術だけしているわけではないんです。それに,土日なんて論外です。月曜日に疲れた状態で執刀したくありません。ミスにつながります。休日は休息します」

「じゃあお聞きしますが,先生の家族や先生自身が癌になっても同じように何か月も手術を待つんですか?」

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