« September 2008 | Main | November 2008 »

October 29, 2008

都合の悪い報告には目をつむるだけ?


魚拓

-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-引用開始-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-
舛添厚労相:都道府県に周産期センターの改善策報告を要請

 舛添要一厚生労働相は28日の閣議後会見で、東京都立墨東病院(墨田区)などに受け入れを拒否された妊婦が死亡した問題について、墨東病院の医師補充策として他の都立病院から産科医を回すべきだとの考えを示した。また都道府県に対し、各地の周産期医療センターの運用状況を調べ、11月下旬までに改善策をまとめるよう通知したことを明らかにした。

 通知は27日付で、周産期医療センターの当直体制や救急部門との連携、搬送先の検索システムの更新頻度などを来月4日までに報告し、必要があれば改善策を同28日までにまとめるよう求めている。

 医療機能の集約・再編による医師確保の検討も求めており、舛添厚労相はこの点について「(渋谷区の)広尾地区には、いい産科の病院がたくさんあり、例えば都立広尾病院を他の都立と一緒にして医療資源を他の病院に回せば(墨東病院の)問題は解決する。一つの方策として提言したい。やるかどうかは都の裁量だ」と述べた。

 また、産科医療を巡る課題について、近く産科と救急医療の専門家を集めて短期的な対策をまとめる意向を示した。【清水健二】
-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-引用終了-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-

忘れてもらっては困る。
厚労省とは厚生労働省であり,労働者が労働基準法に則った働き方をしているかどうか目を光らせるのもこの役所の仕事のはず。
医師も労働者。周産期医療センターの当直体制を本気で調べられるとまずいのは厚労省ではないのか?

いつも言っていることだが,当直(宿直)とは入院患者の急変に備えて医師が病院で“寝る”ことであり,寝ずに働く夜勤ではない。夜勤では夜だけ働き,朝になったら次の当番(日勤)に引き継ぎをして帰宅し,ゆっくり休める。夜勤では働く時間帯が夜にシフトしただけで,昼間のように働く。救急車でやってくる患者も当然診ることになる。そのための夜勤ともいえる。

しかし,当直では翌日も通常勤務なので充分な睡眠をとれることが原則。つまり当直は院外発症の救急患者を診る義務はない。それを義務づけると36時間連続勤務を強いることになる。

産科救急を当直ではなく夜勤体制で回せている周産期医療センターが日本全国にどれほどあるだろう。  


| | Comments (0) | TrackBack (0)

October 27, 2008

まだ「医師は都会に偏在しているだけ」て言う?

すっかり乗り遅れた感のある東京の脳内出血妊婦搬送の件。

まずは脳出血で亡くなられた女性の御冥福をお祈りする。

東京都知事と舛添大臣が罵り合いをしているようだが,マスコミは誰をつるし上げようとしているのか。
やはり墨東病院か。

医師ブロガーの皆さんが健筆をふるわれているので今更私が何を書いても誰かの受売り,二番煎じになる。
というわけで,有り物で逃げることにする。

http://anesthesia.cocolog-nifty.com/freeanesthe/2006/10/post_9a64.html

http://anesthesia.cocolog-nifty.com/freeanesthe/2007/05/post_468d.html


やっぱり,一度断ったら絶対に引き受けるべきではないな。
「なぜ最初の依頼で引き受けなかった」
「最初の依頼で搬送されていたら助かったはず」

脳出血なんだが・・・

| | TrackBack (0)

October 19, 2008

医師逮捕の凡例


魚拓

-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-引用開始-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-
「大野事件判決は、判例とは言わない」―前田座長

10月9日22時54分配信 医療介護CBニュース

「大野事件判決は、判例とは言わない」―前田座長

7か月ぶりに再開された厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」(10月9日、厚労省内)
 「大野病院事件の判決は、法律家の間では重視されない。一審判決でしかない。地裁の判断でしかない。法律の世界はそこが非常に厳しくて、原則として最高裁(の判決)でなければ判例とは言わない」―。医療事故の調査機関の創設に向けて7か月ぶりに再開された厚生労働省の検討会で、前田雅英座長(首都大学東京法科大学院教授)は、最高裁の判断を重視することを強調した。「反発する医療界をいかに説得するか」という問題に多くの委員が腐心する中、「言葉だけで、だましてはいけない」との厳しい指摘もあった。(新井裕充)

 医療事故の原因究明や再発防止に当たる第三者機関「医療安全調査委員会」(仮称)の創設をめぐっては、11の病院団体で構成する「日本病院団体協議会」も意見を集約するには至っていない。

 「医療界の反発をいかに抑えるか」という課題を抱えたまま、政局の行方が不透明な中で、法案化が暗礁(あんしょう)に乗り上げた格好になっている。

 このため厚労省としては、次の衆院解散・総選挙までに医療界を説得するための材料を用意し、法案化に向けて一気にアクセルを踏みたいところ。反対する学会などのヒアリングを実施して、病院団体の合意を取り付ける「準備」を入念に進めておく必要がある。

 そのような中、厚労省は10月9日、「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」の第14回会合を開催し、732件のパブリックコメント(国民からの意見)をまとめた23項目の「Q&A」を示した。意見交換では、厚労省案と福島県立大野病院事件判決との関連や、刑事責任を問われる「重大な過失」の意味が議論の中心になった。

 樋口範雄委員(東大大学院教授)は、大野病院事件の判決が一定の基準を示したことを評価し、「福島地裁判決で、こんなことを言っているということを『注』などで出していただくと、標準的な医療行為から著しくかけ離れた場合はこういう場合で、こんなに厳しい要件だから、刑事裁判ではない別の仕組みで医療者が頑張るという本筋が伝わる」と述べた。

 これに対し、前田座長が次のように述べて反対した。
 「大野病院事件の判決は、法律家の間では重視されない。それはやはり、一審判決でしかない。地裁の判断でしかない。法律の世界は、そこが非常に厳しくて、原則として最高裁でなければ判例とは言わない。(大野病院事件は)最高裁まで争って決まったものではなく、一地方裁判所の判断。同じ医療過誤の問題に関しては、最高裁の判断もある。それとの整合性を持たせつつ整理して、医療界の心配を解くことが必要だ」

■「重大な過失」では説得しにくい?
 「重大な過失」の意味について、厚労省が4月に公表した「第三次試案」では、「死亡という結果の重大性に着目したものではなく、標準的な医療行為から著しく逸脱した医療であると、地方委員会が認めるものをいう」としている。
 また、第三次試案を法案化した場合の「イメージ」として、6月に公表した「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」では、「標準的な医療から著しく逸脱した医療に起因する死亡」などとした上で、地理的環境やシステムエラーの観点などを総合的に考慮して、医療の専門家を中心とした地方委員会が「個別具体的に判断する」としている。

 この日の意見交換では、「標準的な医療から著しく逸脱した医療」の意味が問題となった。議論の口火を切ったのは、山口徹委員(虎ノ門病院院長)。「医療界の多くの関心は、委員会に届け出た後に捜査機関に通知されること。『標準的な医療行為から著しく逸脱した医療』という定義は、専門家の中でも見解が違う。多くの医療行為は、全力を尽くして良心的にやっているはずなので、刑事責任を問われるのは、限られたものではないか」

 医療安全調査委員会の設置を強く支援している日本医師会常任理事の木下勝之委員は、「むしろ、『重大な過失』とした方が、『故意に準じるようなひどい過失なんだ』という意味が伝わり、納得してもらえる」と指摘。医療界を説得する上で、「標準的な医療から著しく逸脱した」という表現ではなく、「重大な過失」を使用すべきと主張した。

 これに対し前田座長は「そんなに差はない」と返し、オブザーバーとして出席した警察庁と法務省の担当者も、「重大な過失」と「標準的な医療から著しく逸脱」は同じ意味であると説明した。

 その後も、「重大な過失」か「標準的な医療から著しく逸脱した医療」かといった、“言葉遊び”とも思える議論は続いた。
 児玉安司委員(弁護士)は「この場(検討会)が、医と法の交差点として、社会に向けてきちんとしたメッセージを出していくことが大切」とした上で、次のようにクギを刺した。
 「議事録で、言葉だけで、オーラル・コンポジションだけで、だましてはいけない」

-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-引用終了-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-

判例ではない→同じような案件で有罪もあり得る→もちろん有罪・無罪の判決の前には起訴があり,その前に逮捕がある

肝に銘じておこう。手術中の出血により患者が死亡した場合,医師が逮捕されるのは何かの間違いではなく,これからもあり得ることと。

産科手術以外でも大量出血の危険のある手術は山ほどあるが,麻酔科医としては大量出血の可能性のある手術をすべて忌避することはできない。でもまあ,周産期医療と救急医療から距離をおいていれば少しはましだろう。できれば心臓血管外科と肝切も避けたい。

| | Comments (169) | TrackBack (0)

October 10, 2008

病死でも不可抗力でもなく


魚拓

-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-引用開始-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-

医療事故:胸部整形で死亡、医師ら書類送検 警視庁

 東京都渋谷区の「代官山整形外科医院」で06年3月、先天的に胸部が陥没している漏斗(ろうと)胸の整形手術を受けた日野市の中学3年の女子生徒(当時15歳)が死亡する事故があり、警視庁捜査1課は7日、手術をした院長の男(66)=世田谷区=と元准看護師の女(29)=盛岡市=を業務上過失致死容疑で書類送検した。

 調べでは、院長らは同月24日、全身麻酔をし、太ももから吸引した脂肪を胸部に移植する手術を実施。術後、生徒が激しい痛みを訴えたため鎮痛剤と鎮静剤を投与した。しかし、呼吸状態を管理する「生体情報モニター」を装着せず、巡回観察も怠ったため約5時間半後に窒息死させた疑い。院長らは「安易に考えていた」と容疑を認めているという。

 漏斗胸は胸骨の変形で胸部が陥没する先天性の疾患。約1000人に1人の割合でみられるという。金属板を胸に通し、胸骨を持ち上げて変形を矯正する手術が一般的だという。【佐々木洋、神澤龍二】
-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-引用終了-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-

新聞の医療記事がどこまで信用できるか分からないのはいつものことだが,書いてあることが正しいという前提で。

「鎮痛剤と鎮静剤」とはレペタン+ドルミカムあたりだろうか。

私も含め,「自分が麻酔を担当したなら死なせずに済んだ」と思っている麻酔科医は多いだろうが,他人事とは思わないほうがいいかもしれない。

手術終了後,術中に投与した麻薬やNSAIDがほどよく効いていて抜管後も痛がらず,呼吸状態も良好で病棟へ帰す。次の症例にかかりきりになっている頃,先の患者が病棟で痛がり始め,主治医の指示通りに鎮痛薬+鎮静薬が病棟ナースによって投与される。そして数分後に呼吸停止・・・。術後の指示を出したのが麻酔科医でなくても,昨今のおバカ訴訟・トンデモ判決を鑑みると「術後鎮痛をおろそかにした麻酔科医の責任」を問われる可能性は充分ある。

しかし

対岸の火事として軽視するような無防備な思い上がりはせず,明日は我が身と真摯に受け止めたい一方,今回の件では担当医に同情する気になれず,少女とその遺族が不憫でならない。パルスオキシメーターだけでも呼吸抑制は充分察知できたはずだ。

一般人にはこれも大野病院も割り箸事件も同じように見えるのかもしれないが,多くの医師は上の66歳の院長を気の毒に思うことはなく,おそらく支援運動など起こらないだろう。

自由診療云々は関係なく,この院長を擁護したいと思う医師は少数派だと思う。

記事では最初に「先天的に胸部が陥没している漏斗(ろうと)胸の整形手術を受けた」とあり,最後にも漏斗胸の一般的治療について述べているが,「院長らは同月24日、全身麻酔をし、太ももから吸引した脂肪を胸部に移植する手術を実施」とある。このクリニックで胸骨を修正するような手術をしたかどうか怪しい。

単なる推測だが,胸骨に対する漏斗胸そのものの手術は他の基幹病院で受け,その後の,もっと見栄えを良くするための手術をこの自由診療クリニックで受けたのではないか。無理もない。15歳あたりはほくろひとつも気になる年頃。

気の毒でならない。

| | Comments (12) | TrackBack (1)

October 05, 2008

こんにゃくゼリー税でメーカー責任は不問

魚拓

-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-引用開始-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-
こんにゃくゼリー「ミニカップ」製造中止も マンナンライフ
2008.10.2 22:33
このニュースのトピックス:食の安全
野田聖子消費者行政担当相(左)にこんにゃく入りゼリーの事故について説明に訪れたマンナンライフの鶴田征男会長(左から2人目)と永井孝社長(同3人目)=東京都千代田区永田町の内閣府で2008年10月2日午後1時1分(代表撮影)野田聖子消費者行政担当相(左)にこんにゃく入りゼリーの事故について説明に訪れたマンナンライフの鶴田征男会長(左から2人目)と永井孝社長(同3人目)=東京都千代田区永田町の内閣府で2008年10月2日午後1時1分(代表撮影)

 こんにゃく入りゼリーをのどに詰まらせた兵庫県の男児が死亡した事故を受け、野田聖子消費者行政担当相は2日、男児が食べたゼリーを製造した業界最大手、マンナンライフ(群馬県富岡市)の鶴田征男会長ら幹部3人を内閣府に呼び、警告表示の見直しなど今後の対応について説明を受けた。子供や高齢者が食べないよう警告する表示が小さい現商品の自主回収について、同社側は「検討させてほしい」とした。

 野田担当相は冒頭、「事故は痛ましいこと。(こんにゃく入りゼリーで)17人もの命が奪われ、前政権からゆゆしきこととして取り組んできたが、今回また犠牲者が出たことを厳しく受け止めている」と話した。

 野田担当相は、ゼリーの形状について、のどに詰まらせないようなものに変えることも要請。同社側は将来的に、事故のあったミニカップタイプの製造を中止する考えを示したという。

-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-引用終了-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-◆-◇-

おかしいなあ。

人が口にするものでもっと危険なもの,こんにゃくゼリーなどの比ではなく,毎年何千何万人もの死をもたらしているものがあるのだが。そっちは規制しないのか? JTの幹部も内閣府に呼んではどうか。

結局,急死が許せない。

白血病や固形癌で死亡するのは家族が別れを告げる時間もあるし覚悟もできるので許せるが,healthy patientが胎盤癒着で急死するのは許せないのと同じ。

長年タバコ吸って肺癌・喉頭癌・膀胱癌や心筋梗塞で死亡するのは自業自得だが,こんにゃくゼリーで窒息するのはメーカーの責任だと。

それともうひとつの要素は,“昔から有名なものは許せるが,新参者は許せない”

白血病や固形癌は昔から有名な病気。映画やドラマでも悲劇の材料として頻繁に使用されてきた。しかし,割り箸での脳幹損傷や胎盤癒着はなじみが無く,受け入れられない。

お餅を喉に詰めて窒息するのは昔からよくある話で,自己責任。こんにゃくゼリーは歴史が浅いので断罪すると。

別に私はこんにゃくゼリーのファンではないし,食べられなくなっても構わないけど。

| | Comments (10) | TrackBack (0)

« September 2008 | Main | November 2008 »