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April 24, 2008

最高条件下でのCPR

魚拓

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手術中に管が外れ意識不明 神奈川県立がんセンター

2008年04月20日23時36分

 神奈川県立がんセンター(横浜市旭区中尾1丁目)は20日、同市内の40歳代の女性の乳がん手術中、人工呼吸を管理する麻酔器からつながる管が外れ、女性が意識不明の重体になったと発表した。発見が遅れ、低酸素状態になったという。センターは家族に謝罪。院内に事故調査委員会を設置して原因を究明する。

 同センターによると、手術は16日に実施。麻酔歴10年の麻酔科医の男性(38)と外科医2人ら計5人で手術に臨んだ。麻酔科医の男性が午前9時前に女性に全身麻酔をかけて席を外し、外科医らが同9時15分から手術を始めた。

 看護師が約15分後に血中酸素量のモニターが示されていないことに気づき、戻った麻酔科医が管が外れているのを確認した。管を接続し直して酸素と薬剤を投与したが、女性は心停止した。心臓マッサージなどをして、20分後に心拍は安定したが、現在も意識不明のままという。
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呼吸回路の外れやアラームのオオカミ少年化のことは過去にも書いていた。
http://anesthesia.cocolog-nifty.com/freeanesthe/2005/10/post_66b4.html

http://anesthesia.cocolog-nifty.com/freeanesthe/2006/12/post_9001.html


またしても同じようなことを書くが,麻酔中に呼吸器の回路が外れるとまず人工呼吸器が「回路内の圧が上がらねーぞ。どっか外れてねーか」と低圧アラームを鳴らす。次にカプノメーターが「呼気が帰ってこないぞ」と鳴り出す。そうこうしているうちにパルスオキシメーターの音色が変化し,SpO2の値が下がって「酸素が取り込めていねーぞ。プローブが外れているわけじゃねえ。波形はちゃんと出てるだろ」と警告を発する。その次に頻脈から徐脈となり,「やばいよ。脈拍数が少ないのはパルオキのモニター音でも分かっているだろうけど,心拍数は40beats/minもないよ」と心電計アラームが鳴り響く。そして,まもなくVf・・・といったところだろうか。

どこかの時点で誰かが気づきそうなものだが。やはりアラーム音のオオカミ少年化か,それとも「アラームは聞こえていたけど,それは私が気にすることではない」だったのか。

それともう一つ解せないこと。これも前に書いたことだが,「心停止したとはいえ,既に気管挿管されていて静脈路も確保されている。ただちに100%酸素で換気できて,蘇生用薬剤も手の届くところに揃っている。これだけの条件が揃っていて,なぜ脳障害にまで至ったか」

術野に遠慮して心マ開始が遅れたか?

それにしても医師や看護師が大勢いるオペ室,蘇生の条件が整ったこの環境で,心停止患者が社会復帰できないのであれば,道ばたで倒れている心停止患者など100%助からないような気がする。

とにかく,「私ならこんなヘマをしない」などとは努々思わないようにしよう。明日は我が身かも知れない。

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Comments

いつも拝読させていただいております。

今回の事故で解せないのが、担当麻酔科医が30分も
持ち場を離れたということです。
県立がんセンターで並列麻酔もないとは思いますが、
何が原因で不在となったのか疑問です。

Posted by: 元麻酔科医 | April 24, 2008 at 10:18 AM

元麻酔科医さん,こんにちは。

別の部屋で硬膜外やAラインが入りにくいので呼ばれたとかではないでしょうか。あるいはちょっとしたことでオペ室を離れることが常態化していたのかもしれません。

とにかく,そこに麻酔科医がいれば防げたであろう出来事で,とても残念です。

Posted by: 管理人 | April 24, 2008 at 09:42 PM

管理人さん おはようございます。

私も他の手術室への応援に駆け付けたとも考えましたが、
30分はさすがに長すぎます。
また、麻酔科医不在の中、執刀をはじめる外科医も
信じられません。

それにしても残念です。

Posted by: 元麻酔科医 | April 25, 2008 at 08:51 AM

こんにちは、夢も希望も無医です。この事故は私の職場でも軽く話題になりました。日麻のエラい先生方には怒られるかもしれないですが、部屋にいないのが悪いのか、モニター見てない(セントラルや各部屋のモニターのインターべット機能がありますよね?)のが悪いのかって問題な気がします。個人的には後者の比重が高いと思います。よそに麻酔をしにいくと、たまぁ~にモニターのアラームを切ってあったり、音を消してある病院があります。恐らくウルサいといって消すのでしょうが、自分の目を潰すようなものです。誰のせい彼のせいといっても低酸素脳症がフルリカバーするわけではないでしょうが(勿論確率的にはもどることも考えられますが…)
麻酔科はまあまぁ沢山いる病院みたいですね…。

Posted by: 夢も希望も無医 | April 25, 2008 at 09:17 AM

夢も希望も無医さん,こんにちは。

昔,よく研修医に「術中の麻酔安定期のアラームには気をつけろ」と言ってました。同じ音色のアラームでも抜管直後と術中安定期では重大さが異なりますが,研修医ではその違いがわかりません。

この事件で手術室にいた外科医や看護師も同じように「恐くないアラーム」と思っていたのかもしれません。

やはり,麻酔科医は挿管直後に手術室を出るのは控えるべきですね。

Posted by: 管理人 | April 25, 2008 at 11:00 PM

LMAだったらしいが、
それでも徹底的に不可解な事故ですな。

Posted by: nyamaju | May 06, 2008 at 02:53 PM

nyamajuさん,こんにちは。

LMAで自発呼吸なら人工呼吸器の低圧アラームは鳴りませんし,回路の接続が外れてもそこがカプノの回路接続部よりも麻酔器側であればカプノの波形も出てしまいますね。ただし,自発呼吸があるので回路が外れてもルームエアーは吸えるはずで,ガス麻酔なら麻酔が覚めていくだけですね。
笑気によるdilutional hypoxiaで心停止とか? 

麻酔科医が部屋から離れた後に体位変換が行われ,そのときにLMAがずれて換気不能になったということも考えられますが,それなら回路の外れは関係なくなります。

Posted by: 管理人 | May 07, 2008 at 10:26 AM

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