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March 31, 2008

神頼み2


魚拓

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「虐待だ」患者家族に病院への過剰クレーム禁止

埼玉県春日部市の同市立病院に入院中の患者の家族が院内で過剰なクレームをつけたとして、市が患者の家族に医療妨害の禁止を求めた仮処分申し立てで、市は28日、さいたま地裁越谷支部(大野昭子裁判官)が仮処分を認める決定をしたと発表した。決定は25日付。市によると、患者側の医療妨害への仮処分命令は全国でも例がないという。

 市によると、同市の60代夫婦が、平成18年3月に入院した90代の母親の治療をめぐり、病院の廊下やナースセンターで「おむつがぬれていて虐待だ」「シャワーでやけどさせられた」と大声で怒鳴ったという。

 また、主治医や看護師に病状の説明を繰り返し求めて夜勤中に押しかけるなど業務に支障をきたし、他の患者からも苦情が寄せられたため、市は今年2月、仮処分を申し立てた。

 仮処分では、夫婦は医師や看護師を大声で畏怖(いふ)させ、虐待など虚偽の誹謗(ひぼう)中傷で診療行為を妨害してはならないとしている。

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神様,いままで私が入院患者を受け持ったことがないことに感謝します。

上記記事にあるような厄災を他人事,対岸の火事としてではなく,「将来の自分の身に降りかかるかも知れない災禍」として真摯に受け止めますので,今後も私が入院患者の主治医をせざるを得ないような事態にならぬようお守り下さい。

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March 30, 2008

神頼み1


魚拓

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脊柱検診怠り病状悪化、大阪・能勢町と学校医提訴へ

 小中学校の学校医が検診を怠ったため、背骨が横にねじれて曲がる「脊柱(せきちゅう)側湾症」に気付かず、症状が悪化したとして、大阪府能勢町の高校1年の女子生徒(16)が同町と在校時の学校医に計約5000万円の損害賠償を求める訴訟を近く大阪地裁に起こす。学校保健法は脊柱検診を義務付けているが、見落とされることが多いといい、生徒側は「学校検診のあり方も問いたい」としている。

 訴状などによると、生徒は町立小、中学校に通学し年1回、学校医の検診を受けていた。中学3年だった2006年6月、風邪で受診した病院で、「背骨が曲がっている」と指摘され、別の病院で「特発性脊柱側湾症」と診断された。

 生徒側が中学校に確認したところ、学校医は校長に「思春期の女子に裸の背中を出させることはできず、脊柱検診はしていない」と回答したという。

 生徒側は「学校医が診断できなければ、町は別の対策を取るべきだ」と主張。学校医は読売新聞の取材に対し「弁護士に任せており、答えられない」とし、同町は「検診したが、発見できなかったと理解している」としている。

 日本側(そく)彎(わん)症学会元会長の鈴木信正医師は「側湾症の専門は整形外科医だが、内科医が学校医のケースが多く、検診していない学校がかなりある。検診を徹底するほか、かかりつけの小児科医らが診断できる体制作りも必要」と話している。
(2008年3月27日 読売新聞)
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神様,いままで私が集団検診の仕事をする機会がなかったことに感謝します。

上記記事にあるような厄災を他人事,対岸の火事としてではなく,「将来の自分の身に降りかかるかも知れない災禍」として真摯に受け止めますので,今後も私が集団検診をせざるを得ないような事態にならぬようお守り下さい。

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March 28, 2008

“元”医師の世迷言

魚拓

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栃木の勤務医「過労で自殺」 労災と認定

2008年03月28日00時26分

 栃木県内の病院で勤務していた外科医の男性(当時38)が自殺したのは過労が原因だとして、鹿沼労働基準監督署が労災認定していたことが27日分かった。記者会見した遺族と代理人によると、長時間労働や転勤、医療事故を起こしたことによるストレスでうつ病になったと認められたという。

 代理人の川人博弁護士によると、男性は00年から埼玉県内の病院で勤務。残業は月80時間を超え、休日出勤や月数回の当直勤務もした。02年5月には、大学の医局の指示で栃木県内の病院に本人の望まない転勤をした。まもなく、内視鏡検査で患者の大腸に穴を開けるミスを起こす。00年の同じミスに続き2回目で、うつ病になった医師は6月14日に高架道路から飛び降り自殺した。

 公開された遺書には「多大な迷惑をかけてしまった。大学の医局にも、本当に患者様や(同僚の)先生、病院の方々に申しわけない。死んでおわびできるものでもないが、それでもやはり死ぬしかないと思う」などと書かれていた。

 男性の父親は「息子は医師の道を夢と希望を持って進んだ。医療の世界が厳しいのはわかるが、死者があってはならない」と話した。川人弁護士も「外科医の激務は深刻で、過労死をなくすには医師の増員と労働環境の改善が必要だ」と述べた。

 過労死弁護団のまとめによると、過去5年間で少なくとも10人の医師や研修医の死亡が、過労による労災や公務上の災害と認定されている。
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その前日,医師免許を持つ作家が書いた以下のような文章が某大手新聞に掲載された。絶妙のタイミングと言えよう。尚,この労災認定の話題をグーグルニュースで検索してみると毎日,朝日,読売,中日の各新聞と,時事通信が引っかかった。産経が掲載しなかったのはニュースにする価値無しと判断したためか。それとも珍しく,昨日載せてしまった駄文の内容を覚えていたか。


魚拓

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【断 久坂部羊】医師に労基法はそぐわない
2008.3.27 03:24
このニュースのトピックス:コラム・断

 先日、ある新聞の1面に「救命医宿直7割『違法』」という記事が出た。救命救急センターの当直が労基法に違反しているとの内容である。医師の激務の実態を報じるのはいいが、そこに労基法など持ち出しては百害あって一利なしだ。

 記事には、労基法上、残業などの時間外労働は原則、月45時間までとか、労基法に違反すると、労働基準監督署が改善指導し、従わない場合は書類送検することも、などとある。医療にそんな建前が通用するわけがないではないか。それとも、治療を求める患者を前に、医師が労基法をたてにして、病院に権利主張ができるとでもいうのか。

 医師に労基法を適用して、臨床研修制度が大きな矛盾を抱えたことは記憶に新しい。研修医に30万円程度の給料を保障したため、指導医のほうが安月給になったり、週末や当直明けを休みにしたため、研修医の一部が、医師のありようを学ぶ前に、休暇の権利を覚えたりするようになった。

 医師の勤務が労基法に違反している云々(うんぬん)などは、現場の医師にとっては寝言に等しい。医師の激務や待遇の改善は必要だが、今さら労基法を当てにする者など、まずいないだろう。万一、医師が労基法の適用を求めだしたら、現場はたいへんな混乱になる。

 患者の治療よりも、労基法の遵守を優先すべきだとまで主張するならいいが、そうでなければ、表面的に「違法」をあげつらうのは、単なる絵空事にすぎない。(医師・作家)
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テレビ局はバラエティ報道番組の一コーナーで「密着取材 救急医療の現場 激務の実態」などと銘打った特集を定期的に流す。どこの局が作っても構成はまったく同じ。

夕方の当直業務開始(申し送り)のシーンで始まる
さっそく血だらけの患者やCPRされながらの重症患者が救急車で次々運ばれてくる
重症患者の治療の最中に新たに搬送依頼の電話が入る(最近は断るシーンもあり)
患者が一段落した時点で当直医(もちろん夜勤ではない)が遅い夕食(店屋物,コンビニ弁当,あるいはカップ麺)を食べようとすると,患者急変で呼ばれる
当直医が風邪薬や栄養ドリンクを飲むシーンもたまにあり
歩いてやってくる患者や,救急車から元気よく降りてくる軽症患者も少し映す(最近は「コンビニ受診」のナレーションも。 もちろん患者の顔はモザイク)
当直医がソファで仮眠をとろうとすると,30分もたたないうちに院内PHSで起こされる
翌日朝の申し送りシーン(最近は「結局朝までほとんど眠れず,この後通常勤務に入る」のナレーションあり)
その後の通常勤務(外来・定期手術・検査・病棟・カンファレンス)をちょっとだけ流す
夜になって帰宅するシーン(「連続**時間の勤務がやっと終わった」のナレーション)

私はこのような金太郎飴取材を見るたびに,「労基法違反を問題にしろよ。当直入りの夕方からだと密着にはならないだろ。その日の朝から翌日夜までの36時間を完全密着しろよ」とテレビに向かって突っ込んでいる。

久坂部氏なら同じ番組を見ても「それくらいの勤務で弱音を吐くな。もっと国民に奉仕しろ」と突っ込んでいることだろう。彼の言う「医師のありよう」とは過労死するまで激務を続けることらしい。

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March 24, 2008

たとえ無罪でも気は晴れない


魚拓

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帝王切開手術中死亡、産科医師に禁固1年求刑 福島地裁

2008年03月21日19時01分

 福島県立大野病院で04年、女性(当時29)が帝王切開の手術中に死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪に問われた産科医加藤克彦被告(40)の論告求刑公判が21日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。検察側は「産婦人科医としての基礎的な注意義務に違反し、医師への信頼を失わせた」などとして、加藤被告に禁固1年と罰金10万円を求刑した。

 検察側の冒頭陳述などによると、加藤被告は胎児を取り上げた後に胎盤をはがしたが、胎盤が子宮に癒着していたためなかなかはがれず、大量出血が起きたとされる。

 検察側は、加藤被告は事前に胎盤癒着の可能性が高いと診断しており、無理にはがすと大量出血の危険性があることを専門書で知っていたと指摘。胎盤をはがすのが難しいと判断した時点で、加藤被告には、子宮摘出に移る義務があったと主張している。

 一方、弁護側は、癒着胎盤はすべてはがしきるのが臨床の現場では主流であり、胎盤をはがすことによって止血も期待でき、加藤被告の医療行為は適切だったなどとして無罪を主張している。

 公判は、5月16日に弁護側の最終弁論で結審し、今夏ごろに判決が言い渡される見通しだ。
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http://www.ohmynews.co.jp/news/20080321/22400には,読むに耐えない検察側の罵詈雑言主張が並んでいる。
魚拓

あたかもK医師が極悪非道の大罪人かのような扱い。

その割には求刑は禁固1年と罰金10万円。このあたりに検察の自信のなさ,「しまった! やっちゃったー。やはり逮捕はまずかったかな」感が漂っている。「まさか無罪を求刑するなんてことは恥ずかしくて出来ないので,このあたりでどうでしょう。あとは裁判官にお任せしますよ」といったところか。

しかし,「医師への信頼を失わせた」などと,検察が恥ずかしげもなくよく言えたものだ。お前らに言われたのでは情けなくて涙が出る。

K医師に無罪判決が出されることを信じているが,それでも私の気は晴れない。

「逮捕・起訴されても有罪になるとは限らない」などと気休めを言う人がいるが,普通の社会人なら一度でも逮捕なんてされた日には地獄に突き落とされたも同然。社会的信用,仕事,時間など失うものは計り知れない。家族にも不憫な思いをさせる。警察はすべてをビデオ撮りされては困るようなやり方で取調べを行い,検察は人格さえも否定するかのようなストーリーをでっち上げる。


やはり逮捕なんてされたくない。自分が逮捕される危険を冒してまで救わねばならない命など,せいぜいこの世に2つか3つしかない。赤の他人では皆無。


京都大学では肺移植に関わった医師が3人書類送検されている。詳しいことがわからないのでその是非には触れない。ただ言えることは,刑事訴追の危険性を少しでも減らすには,難しい治療・患者が死ぬ可能性のある手技を避けること。何しろ,イチかバチかでやってはいけないというのだから。

しかし,患者の生命(およびこちらの医師生命)が危うくなると事前に予測可能な治療は避けようもあるが,割り箸の脳幹穿孔や胎盤癒着などのように,予見できない地雷疾患はどうすればいいか。万に一つの珍しい症例でも警察と司法がガイドラインを決めてくれればいい。警察も司法もいつも「このやり方は間違っている」「こうすれば助かったはず」などと決めつけて逮捕や断罪できる能力があるのだから,ガイドラインぐらい簡単に作れるはずだ。

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March 20, 2008

ぶら下げタイプで禁静注


魚拓

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広島市立安佐市民病院で注射ミス、高1少年が死亡

 広島市立安佐市民病院(日高徹院長)は17日、入院していた山口県平生町の高校1年の少年(16)に、中枢神経抑制剤の筋肉注射を静脈に注射するミスがあり、少年が死亡したと発表した。病院は「ミスと死亡との因果関係は分からない」としているが、病院から届けを受けた安佐北署が司法解剖し、業務上過失致死の疑いで調べる。

 同病院によると、少年は原因不明の脳症で、2月26日に山口県岩国市内の病院から転院。今月16日午前、女性看護師(23)が、けいれん発作を抑えるために筋肉注射するフェノバルビタールを誤って静脈に注射。少年の心拍数は低下し、約5時間後に死亡した。看護師は処方せんをよく確認していなかったという。

 記者会見で日高院長は「あってはならない事故で、深くおわびする。薬剤投与の確認を徹底させる」と謝罪した。
(2008年3月18日 読売新聞)

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私の医療文化圏だけではないと思うが,麻酔科医は看護師に薬剤投与を任せることはない。もちろんペインクリニックやICUなどの例外はあるが,手術麻酔に関しては静注はおろか筋注・皮下注も看護師にさせることはまずない。任せるとしたら坐薬ぐらいだろう。かつては麻酔前投薬の指示を病棟で出していたが今はそれもほとんどなく,せいぜい常用薬を飲ませるかどうかを指示する程度。地域によっては麻酔に使用する薬剤(例えば筋弛緩薬や静脈麻酔薬)を看護師がシリンジに引いて準備してくれるらしいが,私はこれも誰かに任せることはない。

もちろん,私自身が薬剤の誤投与をするかもしれない。リバースを投与しようと手にしたシリンジをよく見るとマスキュラックスだったとか,バッキングしたので慌ててマスキュラックスを投与しようとしたらエホチールだったとか,誤投与のニアミスは今でもある。

しかし,自分で誤投与したならまだ諦めもつく。他人のせいにしたがる卑劣な自分を見なくて済む。

よほどの緊急事態でも起こらない限り麻酔中の薬剤投与は自分でするが,心配なことがひとつだけある。

それは,硬膜外に使用するアナペイン2mg/mL(0.2%)100mLの製剤。
容器には「禁静注」と大きく書かれているが,点滴台にぶら下げるため(?)の穴がついている。

02


私が持続硬膜外のセッティングをするためにアナペイン2mg/mL(0.2%)100mLを箱から取り出し,麻酔器のテーブルに置いてシリンジに引こうとする。そのとき急な用事(病棟での挿管依頼,緊急手術の打診etc)が入り手術室を出る。私がいない間に点滴が終了する。本来ならVeen Fなど同じ輸液製剤をつなげるはずが,看護師が“気を利かせ”,麻酔器の上に置いてあるアナペインを「麻酔科医が次の点滴に用意したもの」として点滴セットに接続する。アナペインを静注するとどうなるか経験がないので知らないが,おそらく数mLの投与で血圧は下がるだろう。私がいない時に血圧が下がったら,外科医がまず指示するのは点滴速度のアップ。
そして私が帰って来る頃には…。

「私がいない時に輸液製剤のボトルがカラになったら,同じものをつなぐこと」と言っておくしかない。

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March 15, 2008

現実>妄想

魚拓

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救急搬送、苦悩の現場 「62回拒否」「到着に5時間」

2008年02月15日

 搬送拒否62回、5時間13分待ち――。大阪市消防局が14日に発表した要請回数20回以上を数えた救急活動の事例には、驚くべき数字が並んだ。症状が悪化していく患者に付き添って病院を探し続ける救急隊員は、焦燥感にさいなまれる。一方、救急病院側にも患者受け入れを断らざるを得ない事情がある。「救急危機」の広がりはとどまるところを知らない。

    ◇

 「80代の女性が自宅で倒れている」

 昨年4月の深夜、そんな内容の119番通報が大阪市消防局にあった。救急車が即座に出動。6分後に女性を収容した。だが、肝心の受け入れ先が見つからない。

 10分後、呼吸が弱まり、人工呼吸を始めた。府内の救急病院13カ所、救命救急センター7カ所に受け入れを断られ、26回目の連絡でようやく搬送先が決定。市内の救急病院に着いたのは、現場到着から54分後の午前3時58分だった。女性は病院到着の約40分後、死亡が確認された。

 同年6月、自宅マンションから転落した30代男性は、救急車に収容された20分後、心肺停止状態に陥った。車内で人工呼吸や心肺蘇生を施しながら、搬送先を探したが、府内と兵庫県の30病院に計39回受け入れを断られた。市内の救急病院に着いたのは通報から約1時間半後。男性はその45分後に亡くなった。

 受け入れを断られた回数が最多の62回だった30代男性。1月に自宅で吐血して救急車を呼んだが、アルコール臭がしていることを救急隊員が病院に伝えた。搬送要請は次々に断られ、通報から2時間20分後、府内の救命救急センターに入院できた。胃潰瘍(かい・よう)と診断された。

 統合失調症の60代女性は、通報から病院搬送まで5時間13分かかった。府内には精神科の急患を受け入れる病院が少ないうえ、休診や「収容不可能」と答える病院が相次ぎ、搬送先探しが難航。26回目に連絡した病院に入院が決まった。

 市消防局の元救急隊長は「病院に要請依頼を続ける救急隊員はいつも、焦りとプレッシャーで押しつぶされそうになる。人を助ける仕事なのに、と考えてしまう」と話す。

    ◇

 なぜ、大阪市で搬送要請が20回以上もかかるケースが一気に増えたのか。

 大阪市内の病院の救急医は「救急医療を支えてきた救急医や麻酔医が大阪で、急速に現場を離れている」と指摘する。医師不足のしわ寄せが一気に押し寄せたほか、在宅医療を進めた結果、在宅の高齢患者が体調悪化で救急病院に運ばれるケースも増えている、とみる。

 問題が次々に発覚した富田林市も含め、大阪府内で救急医療の衰退が目立つことについて、堺市立堺病院の横田順一朗副院長は「この1年、内科医や麻酔科医など救急医療の核になる医師が急減し、予定が決まっている通常の手術がやっとの病院が多い」とみる。

 今回の調査で、搬送先が見つかりにくいのは、これまでも「病院に敬遠されやすい」とささやかれてきた酒や薬物を多量に服用している患者であることが裏づけられた。横田副院長は「人手やベッドが限られ、重い症状の患者が待つ中で、暴力や暴言など、手がかかる飲酒の患者をみる余裕はない」と明かす。

 日本の救命救急の草分け的存在とされる杉本侃(つよし)・大阪大名誉教授(75)は「医療現場はドミノ式に疲弊しており、私の病院にも『10回目なので受け入れてほしい』と要請が来る。救急システムを築くのは大変だったが、崩壊はあっという間。最終的に迷惑を被るのは患者だ」と憂える。

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魚拓

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救急搬送調査:50回照会、受け入れまで4時間のケースも

 総務省消防庁は11日、07年の救急搬送の受け入れ状況に関する実態調査結果を発表した。先行実施した産科・周産期傷病者だけでなく、重症傷病者や救急救命センターへの搬送などにも対象を拡大した結果、重症以上の傷病者のうち、医療機関に50回照会し、搬送までに4時間13分もかかるケースが判明するなど、深刻な受け入れ態勢が浮き彫りになった。

 この患者は東京消防庁が搬送した70代の女性。夜間に持病の呼吸苦を訴えたが、救急隊が39回、病院を照会する指令センターが11回照会した末にやっと医療機関に搬送された。設備・資機材、スタッフ不足などの「処置困難」や「手術・患者対応中」を理由に医療機関が受け入れを拒んだためだった。拒否回数が最多だったのは吐血で大阪市消防局が搬送した30代の男性で、救急病院などに62回も断られた。

 重症以上の傷病者の調査対象41万1625人のうち、受け入れ病院が決まるまでの照会件数が4回以上は1万4387件、6回以上は5398件で、11回以上も1074件あった。地域別では、首都圏と近畿圏の大都市と周辺部で照会回数が多かった。救急隊による処置も含めた現場滞在が1時間半以上に及んだのが405件、2時間半以上も65件あった。

 医療機関が受け入れを拒んだ理由は「処置困難」で全体の22.9%で最も多く、次いで「ベッド満床」22.2%、「手術中・患者対応中」21%、「専門外」10.4%の順だった。産科・周産期傷病者で4回以上照会された事案は、04年に225件で全体の1.9%だったが、05年には342件で2.6%、06年は667件で4.1%、07年は1084件で同4.8%と件数、比率とも増加傾向にある。【七井辰男】

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私は救急に関する妄想記事を書くときに,受け入れを断られた回数や搬送に要した時間に大げさな数字を入れてきた。例えばhttp://anesthesia.cocolog-nifty.com/freeanesthe/2008/01/17_5b7f.htmlでは「48病院に受け入れを断られ」
http://anesthesia.cocolog-nifty.com/freeanesthe/2008/01/6_031c.htmlでは「重傷を負った女性が計49カ所の病院に受け入れを拒否され,約3時間半後にV大学病院へ」

いつか現実が妄想を超える日が来るだろうという気はしていたが,こんなに早いとは思わなかった。

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March 08, 2008

古巣とMac


魚拓

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医師2人書類送検=手術前確認怠り患者死なす-新潟県警

3月6日17時31分配信 時事通信

 手術時のミスで患者を死亡させたとして、新潟県警柏崎署は6日、業務上過失致死容疑で、JA新潟厚生連刈羽郡総合病院(同県柏崎市)の耳鼻咽喉(いんこう)科に勤務していた男性医師(39)と麻酔科に勤務していた男性医師(31)を書類送検した。いずれも容疑を認めている。
 調べによると、2人は2004年3月3日、へんとう摘出手術を前日に受けた男性患者=当時(28)=の止血のため、全身麻酔をかけ再手術を行った。通常、全身麻酔では事前に胃の内容物を吸引する必要があるが、2人は男性の胃の中に血液がたまっている恐れがあったにもかかわらず確認を怠り、嘔吐(おうと)した血液を誤って飲み込んだことによる呼吸不全で男性を死亡させた疑い。 
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亡くなられた28歳の男性は本当にお気の毒である。ご遺族には心よりお悔やみ申し上げる。
ご遺族が民事訴訟を起こすのは当然だと思う。割り箸事件とは全然違う。

しかし,書類送検とは…。

フルストマックの緊急手術で,麻酔導入時に嘔吐させて誤嚥性肺炎で患者が死亡したら,麻酔科医は犯罪者になるのか。

上の記事には誤嚥性肺炎とははっきり書いていないが,「嘔吐(おうと)した血液を誤って飲み込んだことによる呼吸不全」と書かれると,誤嚥性肺炎のことと思ってしまう。確かに誤嚥性肺炎は重篤な合併症のひとつで,緊急手術では麻酔科医が必ず念頭に置くもの。

しかし,腑に落ちない点がある。
患者はおそらく扁桃肥大以外は問題のない,いわゆるhealthy patientで28歳の若さ。抵抗力の落ちた高齢者ではない。胃液や血液を少々誤嚥したくらいで死亡するとは思えない。嚥下障害のある認知症患者がひとりで食事中に,誰にも気づかれないうちに誤嚥したわけではない。挿管の際に嘔吐したなら,ただちに気管内吸引などの対処をとったであろう。また,血液自体が肺に流れ込んでも余り問題はない。吸引しても取り切れずに残ってしまった血液はそのうち喀痰とともに排出される。問題は胃酸。 
大量の血液ではなく,血液が混じった大量の胃液を誤嚥したということか。

あるいは
口腔内が血液だらけになって,喉頭鏡で視野が得られず挿管に手間取り心停止?
挿管が難しく,マスク換気しているうちに胃液+血液が末梢気道に押しやられ,挿管後の吸引では十分に除去できずにメンデルソン症候群?
吐いた血腫の塊が気道を塞いで窒息→心停止? 気道閉塞するような堅い血腫の吐物は見たことがない。コーヒー残渣様の吐血でも気道を完全に塞いだりしないだろう。 

それに,耳鼻咽喉科の医師がそばにいたなら緊急の気管切開も可能だったはず。気道閉塞で死亡するとは考えられない。

インフルエンザも峠を越したようだが,私は今も人混みを避けるため土日は家にいることが多い。何もすることがないので土日の昼間だけでも緊急手術を応需しようかとも思っていたが,やっぱりやめよう。緊急手術はほぼ全例がフルストマック。ナースや外科医にクリコイドプレッシャーを頼むのも不安がある。アウェイク挿管でも誤嚥を100%防げるわけではない。刑事訴追の危険を好きこのんで冒す必要はない。古巣(自宅)でMacをいじっていても書類送検されることはない

ショック状態でも気道確保の前に手術を始めろとか言う判決もあったし,もう急性期医療にかかわるのはやめた方が良い。いや,自分と家族のためにも手を出すべきではない。

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March 02, 2008

マイペース=ゆっくり ではないはずだけど

「あなた、ブログなんかやめたほうがいいんじゃない? チラシの裏にでも書いてなさいよ」
「バカ麻酔科医」
「愚にも付かない思想をお持ち」

などと非難されたこともあったが,このブログを始めてもう3年以上が経過した。

先日,Google リーダーを開くと「イチオシ」の筆頭にここが挙がっていてびっくりした。

「すべてを表示」をクリックすると「おすすめの新着フィードは、似たような関心を持つユーザーのフィードをもとに生成されます」とあったので納得した。私が登録しているところはほとんどが医師のブログだ。

それにしても,新着のおすすめフィードの中で購読者が一番少ないのがここだったのは笑うしかない。さらに,週間投稿数1.2と明記されている。更新頻度が少ないのは自覚しているが,そんなはっきりした数字を突きつけられるとちょっとつらい。

まあ,これからもマイペースで行くつもりだけど。

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