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June 29, 2007

結局,マニュアルも役に立たない

私はネタを見つけるのが遅い上に遅筆である。別にあれこれと思考を巡らしたり文章を何度も推敲したりするわけではなく,ただ遅いだけである。スキマの時間を利用するという器用なマネはできず,まとまった時間がないとキーボードを打つ気になれない。また,充分な時間があったはずなのに言いたいことの半分も書けていないこともよくある。そして少し仕事が忙しくなると,書きかけのまま何日も放置してしまう。その結果,周回遅れどころかゴールする頃に誰もいなかったりする。

言い訳はこれくらいにして。

魚拓
-----------------------------------------------引用開始-------------
エホバの証人:手術中に大量出血、輸血受けず死亡 大阪
 信仰上の理由で輸血を拒否している宗教団体「エホバの証人」信者の妊婦が5月、大阪医科大病院(大阪府高槻市)で帝王切開の手術中に大量出血し、輸血を受けなかったため死亡したことが19日、分かった。病院は、死亡の可能性も説明したうえ、本人と同意書を交わしていた。エホバの証人信者への輸血を巡っては、緊急時に無断で輸血して救命した医師と病院が患者に訴えられ、意思決定権を侵害したとして最高裁で敗訴が確定している。一方、同病院の医師や看護師からは「瀕死(ひんし)の患者を見殺しにしてよかったのか」と疑問の声も上がっている。

 同病院によると、女性は5月初旬、予定日を約1週間過ぎた妊娠41週で他の病院から移ってきた。42週で帝王切開手術が行われ、子供は無事に取り上げられたが、分娩(ぶんべん)後に子宮の収縮が十分でないため起こる弛緩(しかん)性出血などで大量出血。止血できたが輸血はせず、数日後に死亡した。

 同病院は、信仰上の理由で輸血を拒否する患者に対するマニュアルを策定済みで、女性本人から「輸血しない場合に起きた事態については免責する」との同意書を得ていたという。容体が急変し家族にも輸血の許可を求めたが、家族も女性の意思を尊重したらしい。

 病院は事故後、院内に事故調査委員会を設置。関係者らから聞き取り調査し、5月末に「医療行為に問題はなかった」と判断した。病院は、警察に届け出る義務がある異状死とは判断しておらず、家族の希望で警察には届けていない。

 エホバの証人の患者の輸血については、東京大医科学研究所付属病院で92年、他に救命手段がない場合には輸血するとの方針を女性信者に説明せずに手術が行われ、無断で輸血した病院と医師に損害賠償の支払いを命じる最高裁判決が00年に出ている。最高裁は「説明を怠り、輸血を伴う可能性のあった手術を受けるか否かについて意思決定する権利を奪った」としていた。【根本毅】

毎日新聞 2007年6月19日 19時46分

-----------------------------------------------引用終了-------------


既に多くの医師がそれぞれのブログでコメントされているので,今さら私が述べることに目新しいものは何もない。

誰もが書いているように,この記事を書いた記者が何を主張したいのかわからない。ひとつだけわかることは,「医師を悪者にしたい」という悪意のみ。

>「瀕死(ひんし)の患者を見殺しにしてよかったのか」と疑問の声も上がっている

患者や家族が熱狂的なエホバ信者であり,充分なムンテラが行われたことを知っていながらこんなことを口にする医師や看護師はまずいないと思う。記者に「本当に誰かがそんなことを言ったのか?」と問えば情報源秘匿とかで言い逃れするのだろう。このような確認不可能な伝聞形式の記事が許されるなら,事実を伝えるフリをしながら記者自身が描くストーリーを自由に捏造できてしまう。

>病院は事故後、院内に事故調査委員会を設置。

これは事故なのか? 輸血拒否患者に対するマニュアルは病院が作ったはずである。そのマニュアルに則って事を進め,予想外の突発事象も起こっていないのに「事故」とされ,事故調査委員会まで設置するとはどういうことか。そのマニュアルには「大量出血の患者に最後まで輸血しなかったために死亡する」というシナリオは織り込まれていないらしい。

とにかく,エ○バにはかかわらないに限る。前にも書いたが,信仰の自由は尊重するが我々に迷惑かけるのはやめてくれ。自分の健康より信仰のほうが大事なら,病気も祈○師に治してもらえ。えっ? 今回のは病気でなくて出産? だったらなおさら病院には(以下略)。

今後麻酔科医が激増し,私が過当競争に敗れて仕事にあぶれることになったとしても,エ○バ信者の手術だけは引き受けまい。たとえそれが鼠径ヘルニアだとしても。

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Comments

>「瀕死(ひんし)の患者を見殺しにしてよかったのか」と疑問の声も上がっている

私はこの発言自体は本当にあったのだと思っています。誰に対して、どのような文脈で言ったのかを曖昧にしたまま、いかにも「見殺しにした」当事者を非難しているかのように報道していることが問題なのだと思います。

実際には、「今後もこのようにエホバの言うとおりにしていて良いのですか?」という、病院上層部への提言だったのではないでしょうか。

Posted by: bamboo | July 01, 2007 at 06:22 AM

bambooさん,こんにちは。コメントをありがとうございます。

そのときオペ室にいた誰かが病院上層部に向けて発言したということはありえるかもしれませんね。

病院あげて作成したマニュアル通りに事を進め,結果が悪ければ病院側が“事故調査委員会を設置。関係者らから聞き取り調査”

このようなことでは,輸血拒否患者を担当する主治医や麻酔科医はやりきれません。

遺族が納得し民事訴訟も起こらず,警察も事件性無しとして刑事訴追がなかったとしても,新聞であたかも極悪人のように報道されるなら,やはりエホバとはかかわらないのが賢明かもしれません。

Posted by: 管理人 | July 01, 2007 at 12:54 PM

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