イカンに思う
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医療ミス患者死亡 気管に栄養チューブ 岩手医大病院
5月17日6時12分配信 河北新報
岩手医大病院(盛岡市)は16日、循環器医療センターの30代後半の男性医師が、入院患者の気管に誤って栄養チューブを挿入し、患者が15日に多臓器不全で死亡したと発表した。盛岡東署は業務上過失致死の疑いで医師や関係者から事情を聴いている。
病院によると、死亡したのは心機能不全や慢性腎不全などの治療を受けていた70代男性。4月2日に入院し、5月9日に心臓大動脈弁などの手術を受けた。
術後に食事を受け付けなくなり、12日に鼻から胃へチューブを挿入して栄養剤を送る処置を受け、容体が急変。呼吸不全に陥り、15日午前6時半に死亡した。容体急変時にレントゲンで再確認したところ、医師がチューブを誤って気管に入れたことが分かった。
記者会見した鈴木一幸病院長は「遺族におわびする。再発防止対策を徹底したい」と謝罪した。
最終更新:5月17日6時12分
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挿管チューブが食道に入るのも困るが,経鼻胃管が気管に入っても困る。
どちらにせよ,すぐに気づけば問題ないのだが。
気管内チューブの盲目的経鼻挿管を意図的にしようとしても難しい。なのに,経鼻胃管が何度やっても気管に入ってしまうことがある。麻酔科の場合,経鼻胃管を入れる頃にはすでに気管挿管されている。胃管は本来なら障害物のない食道のほうが入りやすいのに,なぜかそれをわざわざ避け,挿管チューブのカフを押しのけて気管に入っていく。手術中に栄養剤を入れることはないので重篤な事態にはならないが,挿管チューブのカフにリークが発生し一回換気量が減ってしまう。そして,胃管の他端から麻酔ガスが吹き出す。
たかが経鼻胃管のために喉頭鏡を使いたくない。首の角度を変えたり,喉頭を軽く持ち上げたり左右に圧排したりして何度も試みる。非上腹部の短い手術なら結局あきらめることもある。そういうときは「クラシックLMAだったなら,胃管は入れないのだし」と自分に弁解する。
胃管の出し入れによって声帯損傷や声門浮腫が起こらないか不安になることがある。胃管が何度も気管に入るということは,胃管が何度も声帯をこすっていることを意味する。胃管は挿管チューブほど太くはないが,声門は既に挿管チューブでほとんど占拠されており,胃管が迷入する際には挿管チューブと声帯と間に分け入るように押し込まれる。
前投薬にH2ブロッカーを処方しなくなって久しい(成人では前投薬をまったくしない)が,以前に比べて胃液が増えたという印象はあまりない。麻酔に胃管は不要という人もいるかもしれない。しかし,同じような指示で絶食・絶水されていても麻酔導入後に大量の胃液が引ける症例もある。抜管前に胃管で胃液を吸引しておかなかったなら,抜管後に大量に吐かれる可能性もある。また術後のPONVでも,実際に胃液を吐かれるのと“からえずき”ではナースや外科医の印象も違う。第一,胃液を吐かなければ誤嚥性肺炎にはならない。
麻酔導入時,胃に空気が流れ込むような下手な用手換気はしていないつもりだが,上腹部の手術で外科医に胃の“張り”を指摘されたくない。腹膜が開くまでには胃管を入れたい。
よくある光景
「やれやれ,ずいぶん時間がかかったが,この感触では胃に入ったはずだ。さっきまでと違って麻酔ガスが吹いてこない。胃液が引けることを吸引で確認と…。あれ,何も引けてこない。仕方ない,シリンジで少量のエアーを入れて(上腹部の)聴診で確かめようっと…。あー! 腹部の消導が始まってしまった。もう聴診器使えない…」
で,冒頭の岩手医大の記事に関する感想だが。
上腹部の聴診が阻害されることがないなら,簡単に確かめられると思うのだが。せめてXPで胃管の位置を確認できるまで栄養剤投与を控えていたら…と思ってしまう。
「無麻酔下で胃管が気管に入ったなら,強い反射が起こるはず」という思いこみが強かったのだろうか。


Comments
>上腹部の聴診が阻害されることがないなら,簡単に確かめられると思うのだが。
これで確かめたとしても
>せめてXPで胃管の位置を確認できるまで栄養剤投与を控えていたら…と思ってしまう。
最近はデフォルトでXp撮っている気がします。
Posted by: physician | May 24, 2007 at 01:14 AM
physicianさん,こんにちは。
麻酔科の場合,胃管は手術終了後の抜管前に大抵抜去します。施設によっては開腹術終了時のガーゼ確認のためにポータブルで腹部Xpを撮ることもありますが,胃管がちゃんと胃にあるかどうか自信がないときはポータブル撮影の前に抜去します。たとえ気管に入っていても麻酔中に胃管から栄養剤を入れることはないので無害ですが,気管迷入がくっきり映っているレントゲン写真は見たくないです。格好悪いし,言い訳できないし,穴があったら入りたくなります。最近なら,ヒヤリハットは免れないでしょう。
Posted by: 管理人 | May 24, 2007 at 10:03 PM