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April 29, 2007

3連休は珍しくないのだが

やれやれ,やっとGWだ。
最近忙しかったが,勤務医の頃に比べればはるかに楽なはず。
土日は完全に休みだし,緊急の呼び出しもない。

にもかかわらず,決断力・判断力が低下したと実感させられるような場面があった。

疲れていたせいか? だとしてもあれくらいの労働で疲れるとは情けない。

勤務医の頃には稀ではなかった,リスキーな症例から遠ざかっているせいか。

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April 22, 2007

出血しない手術のみ麻酔します

「今頃になって」と言われるかもしれないが,もともと遅筆な上に仕事もこのところ忙しかった。

麻酔科医としては大野病院や慈恵医大青戸病院に匹敵するインパクトだ。

魚拓

-----------------------------------------------引用開始-------------
国立がんセンター患者出血死事故:2医師を書類送検
 国立がんセンター中央病院(東京都中央区)で02年8月、子宮がん治療のため子宮の摘出手術を受けた八王子市の主婦(当時47歳)が大量出血して死亡した医療事故で、止血措置を十分にせず、手術を続けたことが死亡につながったとして警視庁捜査1課と築地署が執刀医(65)と麻酔医(44)を業務上過失致死容疑で書類送検したことが分かった。遺族との間では示談が成立している。

 調べでは、女性は02年8月12日午前9時ごろから子宮摘出手術を受けた。執刀医が骨盤内の静脈を過って傷つけたため大量に出血したが、執刀医は十分に止血しないまま手術を続行。別の血管も傷つけ、さらに出血した。麻酔医は、出血を知りながら手術をやめさせるなどの措置をしなかった疑い。【鈴木泰広】

毎日新聞 2007年4月18日 東京朝刊
-----------------------------------------------引用終了-------------

手術は広汎子宮全摘術だろうか。

MAPやFFPをポンピングしながら「早く出血を止めてくれ」と祈ったことが今までに何度あっただろう。しかし祈るだけで一度もそれを口にしたことはない。術者は私以上に血を止めたいと思っているはずで,実際に一生懸命努力している。必死になっている術者に向かって麻酔科医が何と言えば警察は納得するのだ。

>麻酔医は、出血を知りながら手術をやめさせるなどの措置をしなかった疑い

出血している最中に手術を止めさせるとどうなるのか?「止血操作の最中に手術を中止させたため,出血が続き患者を死に至らしめた。術者が止血操作を続けていれば**%の確率で助かった。患者が生き延びるチャンスを奪った」と麻酔科医が断罪されるだろう。

これからの手術室での会話は
麻酔科医:「さっさとそこの出血止めろよ! お前らと一緒に書類送検なんてまっぴらだ!」
外科医:「うるさい! 俺らが遊んでるように見えるんかい! 逮捕されたくなかったら黙って輸血しとけ! 足りなかったら勝手に伝票書いてMAPでも血小板でもどんどん取り寄せろ!」


こんな殺伐とした雰囲気ではやってられない。


腹腔鏡下前立腺全摘術,帝王切開に続き,広汎子宮全摘術も私の「お断りリスト」に加えなければならない。というか,大量出血するおそれのある手術は全部拒否したほうが無難だ。全身をヘパリン化する大血管手術や心臓手術はもちろん,肝切除術もやばい。扁摘後の出血は失血死はしないまでも凝血槐が気道を塞ぐおそれがある。

今後もお馬鹿な訴訟や刑事訴追が相次ぐことだろう。JBMに沿っていくと「麻酔を引き受けてはならない手術」がどんどん増え,そのうち「麻酔を引き受けられる手術」は数えるほどになるかもしれない。

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April 13, 2007

四月は死ぬほど長い

4月人事での医師の大量逃散により,新年度から開店休業となる病院(医師が皆無になっても公立病院はつぶれないことは実証済み)や閉鎖される診療科が続出し,本格的な医療崩壊が起きると噂されていた。私はこれを楽しみにしていたわけではない。昨今のマスコミによる医師バッシング,司法のトンデモ判決,警察の狼藉には辟易しているが,今の私は奴隷労働を強いられているわけでもなく,診察室でDQN患者と対峙することもない。医療崩壊がこれ以上進んでも私には何のメリットもないような気がする。

ただ,焼け野原となった後にどのような変化が来るのかを見てみたい気もするので,4月からの大雪崩をちょっぴり期待している。

ところが,あまり目立ったニュースを耳にしない。4月に入れば「国立循環器病センターICU医師大量辞職」に匹敵するような大事件が続出すると,医師の多くが期待推測したはずだ。人員が減って労働が増えても,医師特有の我慢強さで耐えているのだろうか。忙しすぎてインターネットする時間もなく,正しい情報(?)を得られずにいまだに「医師は寝ないで働くのが当たり前」と信じる医師が多数派なのだろうか。

医療崩壊の現実を全国民に突きつけるようなイベントが発生するのはもう少し先なのかもしれない。いずれにしても,4月からの医療崩壊は自分にはほとんど無関係だと思っていた。しかし,そうでもない。

新年度から私の住む地域周辺で外科系が閉鎖・撤退する病院が増えたため,私が働く病院に患者が殺到しているらしい。そういえば午後も外来待合いにいる患者が以前よりも増えている。外来患者が増えれば手術も増える。手術のために他院から紹介されてくる患者も多いのだろう。麻酔症例が多くなり,この数日は帰宅時間が遅かった。日付が変わる前に帰宅できるのを「遅い」とすると怒られるかもしれないが,連日だとちょっとつらい。

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