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May 28, 2006

盗撮

既に賞味期限が切れかかっている話かもしれないが,腹が立つのでやはり書いておこう。

日テレのアナウンサーが女子高生(16)のスカートの中をカメラ付き携帯電話で盗撮し,鉄道警察隊に見つかって書類送検された。そして大手新聞・テレビ局は実名を伏せて報道,あるいはまったく報道しなかった。
ネットのニュースで実名報道していたのはここしか知らない。

最近の他の盗撮事件はどうだったかというと,

電車内で,横に座ったスカート姿の女性会社員(30)の足首をカバンに隠し入れていたビデオカメラで27分間にわたって撮影した医者は,逮捕されて実名報道。

交通事故処理中に女性のスカートの中をデジタルカメラで盗撮していた警察官も実名報道

女子高生のスカート内を盗撮した小学校講師も実名報道

小学校のトイレにビデオカメラを設置した福島民友新聞の記者も実名報道

高校の女子トイレにビデオカメラを設置した高校教師も実名報道


医師・教師・警察官・地方新聞の記者の盗撮では実名報道なのに,日テレのアナウンサーだけは特別扱い。マスコミは常日頃,病院・医師の隠蔽体質を厳しく非難しておきながら,よくもまあ恥ずかしくないものだ。福島民友新聞の記者は実名だったが,これが読売新聞の記者ならどうだったか想像に難くない。

実名を出す・出さないは逮捕と書類送検の違いか? 手鏡でスカートの中を見た早大の植草教授は逮捕だったのに,カメラ付き携帯電話で盗撮した炭谷アナは書類送検というのも腑に落ちない。映像を保管して後日も楽しめる(?)ほうが罪が軽いのか。

私は盗撮した医師を擁護するつもりは毛頭無い。破廉恥な医者はどんどんしょっ引いてもらってかまわない。しかし,隣に座った女性の足首を盗撮すると逮捕で,炭谷アナの盗撮は書類送検というのが納得できない。どちらが書類送検かと言われれば,前者ではないのか。警察は「足首だろうと盗撮は盗撮」といったらしいが,それなら腕や顔(破廉恥医師のビデオには顔や腕も映っていたらしい)でも盗撮は盗撮となる。女性の近くではカメラ付き携帯を触れなくなる。カバンにビデオを忍ばせるのは計画的で悪質,カメラ付き携帯はちょっと魔が差しただけとでも言うのか。携帯の低画素数カメラでも「盗撮は盗撮」で逮捕すべきだろう。

話がずれた。マスコミの情けなさを言いたいのだった。
日本テレビ総合広報部は「社員のプライバシーにかかわる問題なので当社として話すことはないが,既にこの社員に対し適切な対応を取っている」と話しているそうだ。彼が暴力事件や窃盗で捕まってもプライバシーを理由にコメントを避けるのか。いつもは「知る権利」とかをかざして,他人のプライバシーに土足で踏み込んでいるではないか。

しかし,日テレはこの匿名ネット社会において,人気番組に出演しているアナウンサーの不祥事を隠しおおせると本気で思ったのか?そのあたりの見識も情けない。所詮テレビ局など,道交法違反で逮捕されたSMAPの稲垣吾郎のことも「稲垣メンバー」などと苦しい呼称を使ったりするような,情けない会社だからな。こんな公正さを欠く連中がマスメディアを牛耳っているのかと思うと反吐が出る。

ここを見ると,少しは溜飲が下がる


それにしても,盗撮事件が多い。

ちょっとしたイタズラを思いついてしまった。

ビジネスバッグにいかにも不自然な穴を開け,レンズらしきものが見えるようにする。
電車で床に置く。
不審なカバンに気づいた女性が鉄道警察隊に通報。
警察官:「盗撮しただろ?」
男:「してません」
女性:「ウソつき! じゃ,この穴は何?」
警察官:「カバンのなかを見せろ」
男:「任意ですか? 任意ならイヤです」
警察官:「なぜ見せられない? 見られて困るものが入っているからだろ?」
男:「……」
女性:「なぜ黙るの。やはりカメラが入っているのよ」
男:「カメラはないけど…」
警察官:「けど,なんだ?」
男:「きっと,怒ると思うから」
警察官:「とにかく,さっさと開けろ」

仕方なくカバンを開けると,紙の筒の端にセロハン貼っただけのもの。レンズに見えたのはセロハン。そして一枚の紙切れが入っている。紙切れには「こんなもので盗撮できるわけないだろ,バカ」と書いてある。

警官をからかったとして公務執行妨害は免れないかな。迷惑防止条例違反よりも重罪かもしれない。マスコミの格好の餌食となり,もちろん実名報道されるだろう。

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May 08, 2006

下肢の手術にエピドラは禁忌

トータルニーやトータルヒップ,あるいは骨接合術に代表される整形外科手術の麻酔ではエピドラを併用している施設が多いだろう。下肢の手術のためには硬膜外穿刺はLレベルで十分である。このあたりは棘突起が重なることが少なく穿刺が容易なうえ,脊髄は馬尾に分かれているため硬膜外血腫が生じても重篤な麻痺は起こりにくい。ドラパンしても,すぐにそれに気づいた場合はルンバールと同じで,脊髄本幹を突き刺す危険性は低い。ポストスパイナルヘデイクは必発だろうが。
このような理由から,Lレベルでのエピドラは初心者の練習として盛んに用いられている。また,麻酔科医のいない病院でカイザーを行っている産科医のなかには,自分たちでエピスパ麻酔を行っている者も多いだろうが,その際のエピドラもルンバールと同じ椎間か一椎間上あたりのLレベルが多いと思われる。

つまり,Lレベルのエピドラは簡単で合併症も少なく,研修医や他科の医者によっても盛んに行われている手技である。余談だが,Lでのエピドラに慣れた産科医が,Thでのエピドラに難渋する麻酔科医を見て「こいつは俺よりエピドラが下手だ」と,陰で豪語していた話をいくつか知っている。

しかし私は,腰部エピドラの良い適用といえる下肢の手術において,麻酔科医がエピドラを行うのは禁忌と考えている。

理由はいくつかあるが,もっとも大きな理由は,「Ptが手術後に不可逆的な下肢のしびれを訴えた場合,手術侵襲のせいではなく,エピドラのせいにされる」からである。

術前にはなかった知覚低下や異常知覚が膝から下に出現。整形外科医は手術に絶大な自信を持っており,下肢のしびれを手術のせいにはしたくはない。エピドラの穿刺部位はL2/3。
エピドラの手技はスムーズで,最初の穿刺で硬膜外腔に到達。カテーテル留置まで5分とかからなかった。MRIで硬膜外血腫は否定。それでも,「恒久的なしびれの原因がエピドラのせいではない」と断言できない。

「エピドラの危険性についてPtによくムンテラしていれば問題ない」だの,「術者やPtとの信頼関係が築けていれば大丈夫」だのが,楽観主義者の世迷い言とされない時代はとうに終わっている。エピドラによる下肢麻痺で麻酔科医が書類送検されるご時世である。

不可逆的な下肢のしびれは何もエピドラに限らない。もちろんルンバールでも生じる。エピドラでもルンバールでも,それを術者あるいは整形外科医の誰かが行うのであれば問題ない。麻酔のせいでも手術のせいでもムンテラするのは整形外科医である。麻酔科医がエピドラやルンバールを施行したときに問題となる。

だから正確に言うと,「麻酔科医が下肢の手術の麻酔を担当する際,全麻が可能なら全麻のみを行うべきで,ルンバールやエピドラは避けるべき」となる。アッペやカイザーのルンバールなら,下肢に障害が残れば紛れもなくルンバールが原因と思われるので,「合併症のひとつ」として自分なりに納得・反省することができる。しかし,術者がスクリューか何かで神経を傷つけたかもしれないものをルンバールやエピドラのせいにされたのではたまったものではない。もっとも,整形外科の立場からすると,「エピドラで神経根を損傷したものを,手術侵襲によるものとされるおそれがある」とも言える。

エピドラの信仰者は「術後鎮痛はどうなる? PtのQOLも考えろ」と主張する。
しかしPtのQOLを考慮し,良かれと思って入れたエピドラで万一合併症が生じたなら,良くて民事訴訟,悪ければ刑事訴追も覚悟しなければならない。

訴訟が怖ければ,開腹術や肺切でもエピドラを入れないほうが良い。できればそうしたい。エピドラにとって代わる,安全かつ早期離床が可能な鎮痛法が開発されたなら,それに飛びつくだろう。しかし,現在では開腹術や肺切におけるエピドラは,比類ない優れた鎮痛方法と私は認めている。だからこれからもThレベルでの硬麻は行う。一方,こちらに非がなくても下肢麻痺をエピドラのせいにされそうな,下肢の手術ではエピドラを併用しない。

下肢の手術においてエピドラを入れず,術後のNSAIDSやペンタジンだけでは鎮痛が不十分で,そのことを理由に訴訟となり,「術後,患者様を過度に痛がらせ,『手術後は全く痛くない』との期待権を侵害した。よって麻酔科医は慰謝料を払え」という判例が出たなら,私も再考しなくてはならないだろう。

下肢手術に際しほぼルーチンにエピドラを施行している先生方にしてみれば,「何をバカなことを」と怒り心頭に発するかもしれないが,このような考え方もあるということでご容赦願いたい。コメントに対してはレスしないこともあるので悪しからず。

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