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April 30, 2005

麻酔科医がプシったら

ある地方病院の某診療科(麻酔科ではない)の医師がどうやらプシったらしい。優秀で真面目な医師だったが,言動がおかしくなってきた。本人に病識はなく,まわりがいくら勧めても精神科を受診しないため診断はついていないという。その診療科の科長は医局の教授と相談し,その医師は4月から大学に戻された。一般病院で働くのは無理でも大学病院では働けるからだ。なるべくpatientsと接しない仕事を担当することになる。臨床科でそんなことが可能なのかと思われるが,大学病院にはいろんな仕事がある。まず大学病院は会議がやたらと多い。その医局にとって重要な会議にはしかるべき人間が出席するが,どうでもいい会議は彼にまかせる。パソコンか得意なので医局のPCの管理という仕事も与えられた。パソコンが苦手な教授のためにパワーポイントでスライド作りもするのだろう。しかし,会議は一日中あるわけではないし,パソコンの調整も連日必要なわけではない。今後ほとんど毎日ブラブラして過ごし,病気が治るか本人が医局を辞めたいというまで,大学医局で“飼われる”ことになる。

何かと問題を指摘され,一部で崩壊しつつある医局制度であるが,そのプシった医師が職を失わずに普通に給料をもらえるのは,面倒見のいい教授と医局制度のおかげかもしれない。ただ,他の医局員にとっては迷惑である。プシった医師が(プシっていなければ)するはずの本来の仕事(外来,病棟,当直,研修医の指導など)をみんなで分担することになる。

ふと,「私がプシったらどうなるのだろう」と考えてしまう。私も含め,一般的なバイト麻酔医は術前に病棟でpatientに麻酔の説明をしたりしない。手術室で初めて会って,その5分後にはpatientの意識はない。実働時間のほとんどはpatientに意識はなく,patientから「あの医者,言ってることがおかしい」と指摘されることはないだろう。しかし麻酔科医がいくら不足していても,プシった医師に麻酔を依頼する病院があるとは思えない。

尚,「プシる」という言葉は「アポる」「ステる」「ネクる」などと同様の業界用語であり,差別用語でないことを明記しておく。

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April 26, 2005

病院機能評価と個人情報保護法

私のバイト先のある病院では,医療従事者だけでなく医事課や医療事務の業者にいたるまでフルネーム入りの顔写真が各部署に掲げられている。病院評価機構(正確には日本医療機能評価機構というらしい)から良い評価を得るためだそうだ。
一方,個人情報保護法のせいで病室入り口に患者名の札を貼らないという動きが出ている。
病院では患者には個人情報保護法が適用されるが,病院職員には適用されないようだ。

「こういう病院の常勤医でなくて良かった」と,つくづく思う。

そのうち,非常勤医師の顔写真とフルネームも掲示するようになるのだろうか。

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April 18, 2005

充実の一日

今日は午後から肺切含む3例で充実した内容だった。手術の終了が重なることもなく,オペ室の回転がスムーズで明るいうちに帰途につけた。私は頻繁にオペ室を出たり入ったりしていたのに,肺切についた外科医たちは,私が他の部屋でも麻酔をしていることになかなか気づかなかった。他の部屋で骨接合術が始まったため放射線防護のプロテクターを着たが,脱ぐのが面倒でそのまま肺切の部屋に入ったとき,プロテクター姿を見て初めて気づいたようだ。久しぶりの開胸手術で麻酔科医の所在を気にする余裕がなかったのだろう。

それにしても分離換気が必要な肺切は麻酔の保険料が2倍になるのでありがたい。それにLKのPtはたいてい痩せており,エピも挿管も簡単なことが多い。肺切なら毎日でも大歓迎だ。

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April 14, 2005

麻酔科医のホームポジション

一般的な腹部や下肢の手術の場合,麻酔科医のホームポジションは患者の頭側で,麻酔器と生体情報用モニターに挟まれたところである。最近の麻酔器にはモニターが組み込まれているものが多いが,私が働いている病院のなかにはECGとパルスオキシメーターとカプノメーターがそれぞれ独立したものしかないところもあり,まさに麻酔器とモニターに挟まれた格好になる。自動血圧計の数値やECGの確認は少し離れたところからでも可能であるが,レスピレーターや気化器の調節,挿管チューブの確認などはホームポジションにいなければできない。また,静脈ラインの三方活栓もこのホームポジションで操作できるようにしているのが普通で,薬剤投与もこの場所から行われる。

手術室の出入り口は通常一箇所で,麻酔科医のホームポジションは部屋の奥,つまり出入り口の反対側になることが多い。したがって,他の部屋にいるときに「バッキングです」と呼ばれても,すぐにはホームポジションにたどりつけない。先日,ほんの30分ほどだが3例並列になったことがあったが,個々の処置よりも部屋の移動に疲れた。ある部屋では透視用のCアームとそのモニターが行く手を阻み,ある部屋では腹腔鏡用の機器(モニター,VTR,光源,気腹装置)が通り道を狭めていた。そしてどの部屋も,滅菌済みの手術用器具が並べてある台に触れないよう通らねばならない。

ところが,手術室の出入り口が患者搬送用以外にもうひとつ,ホームポジションの近くに作られている施設もある。このドアから出ると(裏の)廊下で,この廊下から別の手術室のホームポジションにただちにたどり着ける。この“麻酔科医専用”ドアがすべての手術室に備わっていれば,常時3例並列も可能なのだが。

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April 07, 2005

フルストマックにマスク換気

フリーになった今,原則として緊急手術は引き受けないことにしているが,先日久しぶりにリスク欄のEに○をつけた。その日は長時間の手術(PD)が一件だけだったが,その最中に整形外科が申し訳なさそうに小児の骨接合術を依頼してきた。どうせPDが終わるまで帰れないし,骨接合などすぐに終わるので二つ返事で引き受けた。朝食を食べていたがその後はNPOだった上,もう夕方になっていた。絶食時間は8時間以上だったが,受傷後は消化管の運動が低下し,胃は空っぽではないと思われた。点滴も入っていたので本格的なクラッシュ導入も考えたが,適切なクリコイドプレッシャーをしてくれる介助者もいないし,サクシンも使いたくなかったので通常のラピッドで導入した。いつもより早めにマスキュラを入れ,プロポを多めに入れた後,タイダルボリュームを少なめに慎重にマスク換気した。挿管後,セイラムサンプを挿入して吸引したところ,やはり食物残渣が中等量引けた。
手術は短時間で終了し,基本料金麻酔と思われたが,オペ室入室が午後5時を過ぎていたため,院外患者の時間外緊急手術として加算がついた。

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April 03, 2005

最近3か月のまとめ

1~3月の勤務日数は52日,症例数は136例ですべて全身麻酔だった。80歳以上は15例,10歳未満が6例であった。麻酔時間が10時間を超えた症例があった一方,麻酔時間20分という手術もあった。一日あたりの症例の最多は6件,最少はもちろん1件であった。エピ,ラパロ,プローン,ワンラングなどのオプションがつかず,麻酔時間2時間までの,所謂“基本料金”麻酔は32件であった。エピはThが43例,Lが2例であった。帰宅が遅くなり,家族と一緒に食事できなかったのは5回程度だったろうか。

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