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March 29, 2005

居眠りはしない

前回「麻酔が雑になってきた」と書いたが,私は仕事中に居眠りなどしない。
麻酔の開始時(導入時)は患者の血行動態が変化しやすい上,気管挿管(あるいはラリンジアルマスク挿入)というヤマ場があるため,麻酔科医は忙しい。また,手術終了時も患者を麻酔から円滑に覚醒させつつ麻酔チャートを完成させねばならないため,非常にあわただしい。しかし,患者に合併症がなく,大出血や喘息発作などのイベントがなければ,手術中の大半の時間は麻酔科医の仕事はモニターをチェックしたり点滴を交換したりするぐらいで,概ね暇である。そのため,この安定期に居眠りをする麻酔担当者がいる。麻酔科入局者では経験2,3年,他科からのローテーターでは3か月程度の麻酔経験で居眠りする奴もいる。
私は患者の状態が落ち着いていても居眠りなどしない。それは,懸命に手術をしている術者に対して失礼だからという理由ではない。自分が生涯の仕事として決めたものが,「居眠りしながらできるもの」と思われたくないからだ。手術中に居眠りする連中は,「麻酔が居眠りしながらでもできる簡単な仕事」と思われても構わないのである。麻酔科入局者も若い間は今後どの道に進むかわからないし,ローテーターにいたっては自分の意志でやってきたかどうかも怪しい。私は最近は並列麻酔を行うことが多く,居眠りどころかイスに座る時間もなくなってきたが,手術が一件だけでそれが長時間の退屈な手術ではさすがに眠たくなってくる,そういうときは酒精綿でうなじを拭いたり,あちこち歩き回るようにしている。

私が居眠りをしないもうひとつの理由は,毎日の睡眠時間が充分だからである。仕事のほとんどは午後からなのに,23時頃には寝床についている。当直・オンコール明けでも通常どおり働かなくてはならない勤務医の皆さん,気を悪くしないでね。

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March 27, 2005

麻酔が雑になってきた

勤務医の頃は研修医に「麻酔器のリークチェックは決して怠るな」と言っていたが,最近は自分自身があまりしなくなってきた。挿管チューブのカフのチェックもろくにしていない。薬を投与する順番もいい加減で,早く挿管したいからプロポフォールよりも先にベクロニウムを入れることが多い。ベクロニウムを後にすると,患者によっては少量(1mg/㎏以下)のプロポフォールでも血圧低下することがあり,ベクロニウムが効く前に挿管することになるからだ。順番を変えたとしてもほんの数十秒(あるいは数秒)の差だろうし,血圧が下がれば昇圧薬を使えばいいだけの話だが,マスク換気しながらの昇圧剤投与は面倒くさい。挿管すればどうせ血圧は上がるんだから。

第三者からのチェックが入らないと“いい加減”になってくるのは仕方ないのかもしれないが,そのうちひどい目にあいそうだ。

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March 21, 2005

酒気帯び医療

酒気帯びでクルマを運転すると,どんなに安全運転していても道路交通法に違反することになる。しかし,酒気帯びどころか深酒した状態で医療を行っても,それを禁止する法律はない。もちろん,患者が不幸な転帰となった場合,それが不可抗力であったとしても,医師の飲酒による医療ミスとされる可能性はある。

3月下旬ともなると送別会のシーズンである。外科の送別会では外科医全員が参加できるよう,その病院での当直に外科医が当たっていない日を選んで宴会が行われることが多い。宴会の最中に他科の当直医師から連絡が入り,緊急手術が必要になると,手術を行う外科医は下戸を除き全員が酒気帯びである。外科と仲の良い麻酔科医もその宴会に参加していてしかもオンコールに当たっていれば,麻酔科医も酒気帯びである。緊急手術につくナースも当直制でなくオンコール制なら,ナースも酒気帯びとなる可能性がある。これで患者が酔っぱらいであれば完璧だ。
緊急手術の必要性を説明する外科医も,麻酔のリスクを説明する麻酔科医も酒臭かった場合,患者と家族はどんな気持ちであろう。実際,宴会の最中に呼び出されて手術を行ったことのある外科系医師は珍しくない,というよりも,酒が嫌いでない外科系医師で酒気帯び手術をしたことがない医師は希有だと思う。

法律で禁止されていないなら何をやってもいいと言うつもりはないが,「法律で禁止されていないから大丈夫だ」と今夜も医師は安心して酒を飲んでしまう。いっそのこと,医師法で酒気帯び医療を禁止すればとも思うが,難しいだろう。Dr.コトーは下戸の設定であったが,彼が酒好きであった場合も,法律で酒気帯び医療が禁じられれば毎日一滴も飲めないことになる。これは離島の僻地医療の話なので極端だが,都会でも同じことだ。入院患者の主治医であれば非番の日の夜でも病院に戻らねばならないような(当直医では手に負えない)イベントはいつでも起こりえる。お産でいつ呼ばれるかわからない産婦人科医,緊急PTCAを行う循環器内科など,いつ呼び出されるかわからない医師は大勢いる。一人医長で毎日オンコールしている麻酔科医もそのひとりだ。

フリー麻酔科医の私は夜間・休日によらず,病院から呼ばれることはない。酒気帯び医療を禁止する法律が制定されても何も困らない。しかし,そんな法律ができると「今日は久しぶりに晩酌してしまったので,診察することができません。診てあげたいけど,法律で禁止されています」と,夜中の外来受診を拒否する医者が続出するかもしれない。応招義務の抜け道となるということで,酒が嫌いな医者でも毎日無理矢理飲むようになったりして。

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March 20, 2005

マイナス面(4)

前回の続き

10 年金と健康保険
将来の年金のことに関しては,制度の破綻も含めいろいろ言われている。あまり詳しくないので何とも言えないが,勤務医の厚生年金や共済年金は大丈夫でフリーターの国民年金だけが危ういとは思えない。少なくとも,フリーター麻酔科医だけが年金をもらえないということにはならないだろう。年金基金は上限いっぱいまで一応かけている。保険料に関しては,そもそも勤務医の保険料は労使折半だから何となく有利のようにも見えるが,雇い主が払っているように見える保険料(半額分)も,もともと給料になるはずだったものという見方もある。健康保険は任意継続だがいずれ国民健康保険に加入しなければならない。医師国保のことはよく知らないが,地元医師会に入会しなくてはいけないらしい。
結論を言うと,年金や健康保険に関しては,制度の破綻など,一般の人々(もちろん勤務医も含む)と同じような不安はあるが,保険料の多寡はあまり気にならない。NHKの受信料は絶対払わないが。

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March 15, 2005

マイナス面(3)

前回の続き

9 仕事が減る可能性(勤務医の仕事は減らない)
やはりこれが最大のマイナス点だと思う。麻酔科医の需要と供給のバランスが逆転することが何より困る。麻酔科医が増えるという事象と,手術症例が減るという事象が考えられ,前者には麻酔看護師制度の導入も含まれる。勤務医の麻酔科医のみが増えるだけなら現在の常勤麻酔科医の過酷な労働条件が少し緩和される程度だろうが,私のようなフリーター麻酔科医が増えるとパイの奪い合いになり,報酬の単価が下がるおそれがある。
基幹病院への手術の集中化により地方の中小病院で手術ができなくなることは,実はあまり心配していない。全体の手術件数が同じなら,基幹病院の常勤麻酔科医だけで業務をこなすのは不可能である。いやいやながらもフリーター麻酔科医に応援を要請することになるだろうと楽観視している。その場合,私は最新の設備と薬剤が揃った手術室で,常勤麻酔科医が前日までにリスク評価とムンテラをしてくれた症例の麻酔を担当する。大学病院などと異なり,術者はバリバリの臨床医が同じ手術ばかりしているので当然上手で,手術は短時間に終わる。そして私は術後回診もすることなく,当直もオンコールもせず,明るいうちに帰途につくのである(甘い?)。
一番恐ろしいのは,癌・骨粗鬆症・変形性関節症の患者が減ること,あるいは手術以外の画期的な治療法が開発されることである。私が現在担当することの多い症例は胃癌,結腸癌,肺癌,乳癌,前立腺癌,子宮癌などの悪性腫瘍と,高齢者の骨折(大腿骨頚部骨折が大半)の骨接合術,OAに対するTHA,TKAなどである。癌の特効薬はもちろん,手術によらない癌の治療法が開発されると仕事は激減する。現に今も脳腫瘍へのガンマナイフ,肝臓癌のTAE・PEIT・MCT・RFA,肺癌・前立腺の粒子線治療など,麻酔科医の存在を脅かすような治療法が確立されてきている。また,骨粗鬆症の予防薬や治療薬が発達して老人の骨が丈夫になると,骨折が減ってORIFなどの手術は減ってしまう。
しかし,ある特定の手術が激減した場合,その手術を専門にやってきた外科系医師が一番困るだろう。バイト麻酔科医は「小児の麻酔は嫌いだ」とか「開心術はかかわりたくない」などの好き嫌いはあるものの,ひととおりすべての手術の麻酔に応じられる。ある種類の手術がまったく消失してもすぐには失業しない。麻酔科医が失業するほど手術が激減する頃には,大勢の外科系医師が職を失っているはずだ。「外科系医師の仕事は手術だけではない。外来も検査もある」と言うだろうが,手術がなくなっても病院側は外科系医師を今の数ほど雇ってくれるだろうか。手術がなくなれば,入院も外来も数が減るだろうし。

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March 14, 2005

マイナス面(2)

前回の続き

5 休めない(代わりがいない)
「麻酔を担当するはずだったバイト麻酔科医がインフルエンザに罹ったので,本日の手術は延期になりました」と言われて,患者と家族は納得するだろうか。麻酔科医が複数いる病院では,自分自身が急病したり身内に不幸があったりすると休めるだろう。しかし,勤務医でもひとり医長ではなかなか休めない。一般の開業医も同じである。

6 収入が不安定
こちらが休みたくなくても,仕事の依頼がなければ当然休みが増え,その分収入は少なくなる。勤務医なら手術がいくら少なくなっても収入は同じである。ただ,勤務医は仕事が多くても(時間外手当は別として)収入が同じとも言える。

7 早起きできない
バイト先は手術が午後からの病院が多いので,早起きが苦手になってきた。ある病院での午前10時からの仕事も苦痛になりつつある。

8 スキルの低下
中心静脈カテーテルの挿入を久しくしていない。これを必要とする症例が少ないし,必要な症例ではすでにカテーテルは入っている。スワンガンツにいたっては目にすることもない。「いままでさんざんやってきたんだから,からだが覚えている」などと過信するのは禁物だ。医療の手技だけでなく,どんなスキルも継続して行わなければどんどん低下していくはずだ。IVHカテーテルを挿入することがおもしろいという時期はとうに終わっているので,今後一切できなくても構わない。手術中に急にIVHを入れなければならないという場面に遭遇しないことを祈るしかない。そういえば末梢静脈路の確保も2か月で2,3回程度だった。

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March 13, 2005

マイナス面(1)

フリーの麻酔科医が勤務医の麻酔科医に比べて劣る点を挙げてみようと思う。通常は勝る点から考えるものだろうが,勝る点はいろいろな理由からまだ書きたくない。また,私は自分が選んだ道を否定したくはないので,マイナス面を過小評価しようとする傾向は避けられないだろう。一度にすべてを書ききれないので何回かに分けることにする。

1 肩書き(勤務先)がない
バイト先に電話するとき,従来は「○○病院麻酔科の△△ですが」と言っていたが,現在は「麻酔科の△△ですが」としか言えない。今のところ交換手に「どちらの麻酔科ですか?」と聞かれたことはないが,その場合はどう答えようか迷っている。「フリーの麻酔科医」などと言うとますます怪しまれそうだ。「毎週そちらの手術室で働いている非常勤の麻酔科医です。明日の手術のことで聞きたいことがあるので××先生をお願いします」で納得してもらえるだろうか。また,子供が入学すると学校への提出書類に親の勤め先を記入しなくてはならない。まさか「フリーター」とは書けないし,とりあえずバイト先の病院のどれかを書いておくとしよう。ところで,勤務医の麻酔科医を定年まで続けたとしてどれほどの肩書きを得られるだろうか? 院長の可能性はきわめて低い。定年60歳として,2学年上に麻酔科の先輩がいれば57歳でも麻酔科部長ではない。58歳でやっと部長,その時点で院長の次に高齢なら,2年間だけ副院長(しかも2~3人のひとり)の肩書きをつけてもらえるかもしれない。しかし,その頃(今でも?)の院長は公立病院といえども経営手腕の能力を問われるだろうから,従来のような年功序列や内科・外科優先ではなく,医学だけでなく経営学も学んだ若い人間が院長に抜擢されているかもしれない。あるいは院長が医師でなければならない時代はとうに終わり,病院経営学のみを学んだものがその経営手腕を発揮している可能性もある。58歳の副院長以下すべての医師が,文系出身の若造をボスとする日もそう遠くないかも。

2 独善的になる?
他の麻酔科医と話をする機会がほとんどない。手術を依頼してくる外科系医師たちは,私の麻酔に不満があったとしてもそれを口にすることはまずない。つまり,私の麻酔は他人からの評価を一切受けない。より良い麻酔を目指して試行錯誤しているうちはまだいいが,そのうち「この手術にはこんな麻酔」と固まってくると,いつしか「この手術にはこの麻酔しかダメだ。私の方法が一番だ」と独善的になってくるような気がする。でも,それはひとり医長の勤務医でも同じことだ。

3 住宅ローンが組めない?
試したわけではないのでわからないが,上記1との関連でおそらく住宅ローンは組めないと思う。

4 退職金がない
定年まで勤務医を勤めあげていったいいくらもらえるのか知らないが,20年後の退職金が従来通りと期待できるかどうか。

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March 11, 2005

タバコは吸ってください

私はタバコを吸わないし,嫌煙派である。新幹線は禁煙車,ファミレスも禁煙席を選ぶ。分煙などと言わず,駅も飲食店も全面禁煙にしてもらいたいと常々思っている。しかし,タバコを吸いたい人は自宅やマイカーのなかでどんどん吸えば良い。肺の手術は分離換気という特殊な手技を用いるため,麻酔の保険点数が高くなる。つまり,肺の手術の麻酔は私にとって「おいしい仕事」なのである。肺の手術というと,肺癌やブラの切除術である。タバコが関与しない肺癌もあるが,ほとんどの肺癌とブラはタバコが原因である。だから,私と私の家族,私にとって大事な人たちにはタバコを吸って欲しくないが,それ以外でタバコを吸いたい人は1日100本以上吸ってもらって構わない。そして未来の私の「メシの種」になってくれれば良い。このように考えると,歩きタバコしている人を見ても苦々しく感じずに済む。しかし,今タバコを吸っているアホそうな中高生が肺癌になる頃には,私は麻酔をしていないのが残念だ。
喫煙は癌だけでなく様々な疾患をもたらしてくれる,医療従事者にとってはありがたい風習である。日本医師会が禁煙キャンペーンを実施しているが,それは将来の自分たちの仕事を減らす行為と言える。トヨタやホンダが「地球温暖化防止のため,マイカーはなるべく使わず,公共の交通機関を利用しましょう」というキャンペーンを張るようなものだ。
「医者のくせに喫煙を奨励するなんて」と思う人もいるかもしれないが,閑古鳥が鳴いている内科クリニックの院長がインフルエンザの流行を望むのと同じである。それに,自分はヘビースモーカーのくせに患者には「タバコをやめなさい」という医者と,「タバコはいくらでも吸っていいですよ。私は病気になりたくないので絶対吸いませんけどね」という医者と,どっちがマシだろうか。
タバコによる疾患の医療費が保険医療財政を圧迫していると主張する人もいるだろうから,「タバコが原因であることが明白な疾患では健康保険が効かないようにすればよい」という意見も一応述べておく。
愛煙家の皆さん,私を非難しないでね。私は,あなた達がタバコを吸う権利を尊重しているのだから。

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March 07, 2005

エピ考(4)

約20年前,エピがまだ珍しかった頃,われわれ麻酔科医が慣れない手つきで苦労して入れているのを外科系医師たちは「何をやってんだ。早く導入してくれよ」と言いたげな目つきで見ていた。そしてせっかく入れたカテーテルも病棟に帰るやいなや抜去されたりもしていた。その後,外科系医師たちはエピが入っていると術後管理が楽であるということに気づいたらしく,彼らのほうからエピを要求するようになってきた。バイト先でも例外ではなく,一般的な開腹手術では必ず「エピもお願いします」と言われる。バイト麻酔でエピを入れるのは構わないが,患者はエピの合併症・リスクに関しては何の説明も受けていないことがほとんどである。いや,エピだけでなく全身麻酔に関する説明も,せいぜい「麻酔は専門の先生にしてもらうから安心して」程度と想像がつく。バイト麻酔のエピで硬膜外血腫が生じ,下半身マヒが生じた場合のことを考えると憂鬱になる。以前,ある看護師が開腹手術の患者となったが,「エピは入れないでください」とはっきり宣言した。エピのベネフィットとリスクをきちんと説明すれば,このようにエピを拒否する患者も多くなるかもしれない。「麻酔の説明は,バイトでも麻酔科医が当日に行えば良いではないか」という意見があるかもしれない。しかし,エピを入れるかどうかの(患者側の)意志決定を,手術室入室直前に迫るのはどうかと思う。えっ? 自分が開腹手術を受ける場合はどうするかって? もちろん,信頼する麻酔科医にエピを入れてもらう。

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March 04, 2005

マンパワー考(2)

「麻酔なんて誰にでもできる」というフレーズをよく目にする。自分は麻酔などしたことがないのに,ただ麻酔科医が嫌いという理由でこのようなことを言う医師は論外として,麻酔科医がいない病院では外科医が全身麻酔を行っている病院が多く,そのような医師たちは本気でそう思っているのかもしれない。だが,患者が高齢化し,合併症を持っている患者も多くなってきた。私が研修医の頃,麻酔のリスク分類では65歳以上を高齢者として扱っていた。そして当時80歳以上の患者は,合併症がなくても単に「高齢だから無理して手術をしても・・・」と外科医も手術をしたがらなかった。それが今や80歳を越える患者の手術は一般病院でも頻繁に行われ,60歳台の患者の手術では「今日の患者は若いので楽だ」となる。全身麻酔を行える外科医たちも,リスクのない若い患者なら自分で麻酔を行うが,高齢者や合併症の多い患者には二の足を踏むようだ。一部には「麻酔科医が他科に麻酔をさせないから麻酔科医不足になった。自業自得だ」と考えている人もいるようだが,外科医が麻酔をしなくなったのは患者の高齢化と手術適用(麻酔適用?も含む)の拡大によるものだと思う。そして手術適用(麻酔適用)拡大の一因は医療の専門化にあると考えている。

つまり,

患者が高齢化→合併症も増えてくる→外科医は麻酔したくない→麻酔科医に任す→麻酔科医が足りない

医療の専門化→手術手技・器具の発達→手術適用の拡大→手術が増える→麻酔科医が足りない

医療の専門化→麻酔手技・モニターの発達→麻酔適用(?)の拡大→手術が増える→麻酔科医が足りない

ということではないだろうか。
ここで,麻酔における専門化とは,「他科に麻酔をさせない」ということではないことを付け加えておく。

最後に本音を言わせてもらうと,私は麻酔科医不足がいつまでも続くことを願っている。
誰だって,自分が「売り手市場の売り手側」であり続けたいはずである。

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