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March 15, 2005

マイナス面(3)

前回の続き

9 仕事が減る可能性(勤務医の仕事は減らない)
やはりこれが最大のマイナス点だと思う。麻酔科医の需要と供給のバランスが逆転することが何より困る。麻酔科医が増えるという事象と,手術症例が減るという事象が考えられ,前者には麻酔看護師制度の導入も含まれる。勤務医の麻酔科医のみが増えるだけなら現在の常勤麻酔科医の過酷な労働条件が少し緩和される程度だろうが,私のようなフリーター麻酔科医が増えるとパイの奪い合いになり,報酬の単価が下がるおそれがある。
基幹病院への手術の集中化により地方の中小病院で手術ができなくなることは,実はあまり心配していない。全体の手術件数が同じなら,基幹病院の常勤麻酔科医だけで業務をこなすのは不可能である。いやいやながらもフリーター麻酔科医に応援を要請することになるだろうと楽観視している。その場合,私は最新の設備と薬剤が揃った手術室で,常勤麻酔科医が前日までにリスク評価とムンテラをしてくれた症例の麻酔を担当する。大学病院などと異なり,術者はバリバリの臨床医が同じ手術ばかりしているので当然上手で,手術は短時間に終わる。そして私は術後回診もすることなく,当直もオンコールもせず,明るいうちに帰途につくのである(甘い?)。
一番恐ろしいのは,癌・骨粗鬆症・変形性関節症の患者が減ること,あるいは手術以外の画期的な治療法が開発されることである。私が現在担当することの多い症例は胃癌,結腸癌,肺癌,乳癌,前立腺癌,子宮癌などの悪性腫瘍と,高齢者の骨折(大腿骨頚部骨折が大半)の骨接合術,OAに対するTHA,TKAなどである。癌の特効薬はもちろん,手術によらない癌の治療法が開発されると仕事は激減する。現に今も脳腫瘍へのガンマナイフ,肝臓癌のTAE・PEIT・MCT・RFA,肺癌・前立腺の粒子線治療など,麻酔科医の存在を脅かすような治療法が確立されてきている。また,骨粗鬆症の予防薬や治療薬が発達して老人の骨が丈夫になると,骨折が減ってORIFなどの手術は減ってしまう。
しかし,ある特定の手術が激減した場合,その手術を専門にやってきた外科系医師が一番困るだろう。バイト麻酔科医は「小児の麻酔は嫌いだ」とか「開心術はかかわりたくない」などの好き嫌いはあるものの,ひととおりすべての手術の麻酔に応じられる。ある種類の手術がまったく消失してもすぐには失業しない。麻酔科医が失業するほど手術が激減する頃には,大勢の外科系医師が職を失っているはずだ。「外科系医師の仕事は手術だけではない。外来も検査もある」と言うだろうが,手術がなくなっても病院側は外科系医師を今の数ほど雇ってくれるだろうか。手術がなくなれば,入院も外来も数が減るだろうし。

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Posted by: 人気BLOGランキング | March 15, 2005 at 02:19 PM

ブログをよく読ませていただいている医学生です。

フリーター麻酔科医が増えることについてですが、

フリー増加→その分常勤医が減る→(一人当たりの症例は勤務医の方が多そうなので)フリーターの仕事がなくなることはない。

と考えているのですが、管理人様はこの意見に対していかがお考えでしょうか?

Posted by: ta | April 23, 2008 at 05:30 PM

taさん,こんにちは。

>フリー増加→その分常勤医が減る→(一人当たりの症例は勤務医の方が多そうなので)フリーターの仕事がなくなることはない。

それはあると思います。

ただ,常勤医では脳腫瘍などの長時間の手術もこなさなくてはなりませんが,フリーランスになると短時間の手術を多数依頼されることが多くなります。また,若さと体力にモノを言わせて土日も働くような猛者もいます。時間ではなく,症例数なら常勤医時代を上回る場合も多いかと思います。

フリーの麻酔科医が増えてくると,最初は短時間の簡単な(つまり美味しい?)仕事の奪い合いが始まり,長時間で大出血するリスキーな仕事しか残ってないということになるかもしれません。

しかし,開心術は保険点数が高いため,これを好むフリーランスも少なくないようです。

過当競争になった場合は,結局パーソナリティが大事なような気がします。外科の先生も,嫌なヤツに麻酔を頼むのは避けたいでしょうし。

Posted by: 管理人 | April 23, 2008 at 11:40 PM

管理人様

詳しいお話ありがとうございます。
大変参考になりました。

確かに、フリーになったらいつ終わるか分からないPD、食道などの手術は入りたくありませんね。

私の大学は全臓器の移植認定施設らしく、たまに朝までオペしていることがあるようですが、そういう症例には麻酔科になったとしたら当たりたくないですね…

Posted by: ta | April 25, 2008 at 12:37 AM

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