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February 12, 2005

マンパワー考(1)

麻酔科医不足が最近クローズアップされている。今週水曜日(2/9)の読売新聞にも慶応大学の教授が「論点」で述べている。私は,いわゆる麻酔看護師(麻酔士)という新たな職業をつくるのには反対なので,武田氏の「専門医でない医師が避け始めた麻酔を,医師でない者に担わせるのは安全の向上につながらない」というフレーズには拍手喝采を贈りたい。
しかし,麻酔科学会がいろいろ努力をしても麻酔科医不足はなかなか解消しないと思う。なぜなら
(1)医師免許を持っていれば誰でも麻酔は行える。麻酔標榜医や専門医の資格は必要ない。麻酔の訓練を受け始めるにあたり,書類の申請すら必要ない。
(2)麻酔科以外の医師に「そちらの病院の麻酔科で麻酔を勉強したい」と言われて断るような病院(麻酔科)はまずない。どこの病院も麻酔科医不足なので諸手を挙げて歓迎してくれるはずだ。
(3)2年ほど麻酔科医として働けば,その病院で行われる手術の麻酔はたいていこなせる。異論もあろうが,実際3年目くらいからひとりでバイト麻酔していることが多い。

つまり,「麻酔をひとりで行えるようになりたい」と望む医師を阻むようなハードルは無に等しい。ただ,新しい研修医制度が始まったばかりの今はどこの科も人手不足のようなので,その医師が所属する医局側が「麻酔の勉強は後にしてくれ」と引き留めることはあるかもしれない。

一人前になるのにそれほど時間がかからない麻酔科医が一向に増えないのは,単に「麻酔科医なんかになりたくない」という医師が多いためだと思う。手術というものはやっていて楽しいらしく,外科系医師は年をとってもやりたがる,いやむしろ若い頃はなかなか重要な部分をさせてもらえないせいか,年をとってからのほうがいろいろできて楽しいようだ。一方,麻酔科はというと,偉くなればなるほど自分で麻酔をしなくなる。教授自らメスを振るう外科系医師は多いが,麻酔科の教授になっても(VIP患者やバイトは別として)麻酔を行っている人がどれほどいようか。

要するに,麻酔という仕事は「つらいばかりで楽しくない」からみんなが避けるのだと思う。

私は結構楽しんで仕事をしているほうだと思うが,長い手術は確かに退屈である。

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Comments

通りすがりのものです。
救命センターの看護師をしており、ほぼ全ての診療科目の医師と関わっているのですが、唯一麻酔科医だけは接点がないんですよね。
だからとっても興味深くみてしまいました。

うちの病院も連日"定例で時間外"の手術が入っているようで、なにやら大変そうですけど、麻酔科医はどこもそうなんですね。

Posted by: ヒロシ | February 14, 2005 at 12:29 AM

ヒロシさん,ご来訪ありがとうございました。誰も見てくれていないのか不安になっていたので,初めてのコメントに感謝の気持ちでいっぱいです。まだブログ初心者ですので不手際などがあるかもしれませんが,これからもよろしくお願いいたします。

Posted by: 管理人 | February 15, 2005 at 08:27 AM

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